瞬間最大火力《バースト》



《始まりの街》



その街へ。

もちろん普通に入るとNPCから追い出されるから、地雷ジャンプで壁を飛び越えて。


「……久しぶりだな。一日振りだけど」


お世話になったハゲの武器屋の屋根の上から。

ココへ来たのにはもちろん理由がある。



「リベンジと行こうか」



それはスキルの検証ついでだ。

その名も『隠密スキル』。

以前の“悪戯”の時はレベルが1だったが、今は5である。


そして、大本命。

この“五倍地雷グレネード”についての検証でもある。


なぜグリーンエルドでやらないのか?

それは単純に、ココが一番モンスターが、“多くなる”場所だからだ。



「――こんにちはー!!! プレイヤーの皆さま!!」



「!?」「な、なんだアイツ――って」「だ、ダガーだ……」



屋根の上。

大声を張り上げて、この街に居るプレイヤーに警告する。




「今からこのハゲの前“爆破”するから!! お手数ですがココから離れる事をお勧めしまーす!!!」


「「「は?」」」


「ごめんなさーい!!」



慣れない大声で疲れた。

まだ朝5時だから人も少ないと思ったけど、結構居て驚きだ。


朝からゲームなんてするもんじゃないよ(ブーメラン)。



「……ん?」



あれ。

むしろなんか、人集まって来てない?



「マジモンだ」「アレが罠士?」「なんで屋根いんだよ」「レベル27!?」「降りてこーい!」「爆破って言ってたよな」「あの武器なに?」「マジで平鍬持っとる」



……ああダメだ。人多すぎ。

あと平鍬ってなに? コイツの真名?

この感じ、これからもっと増える可能性がある。

勝手に邪魔してんのは俺だからなんも言えないけどさ。


変にSNSに投稿するんじゃなかった。

こちとらインフルエンサーなんかになるつもりは毛頭ないぞ。


ああ逆に考えよう。

これは――罠士の布教活動である。



「もう始めますんで!!! 良かったら見てってね!」



そう言ってから、俺は下のハゲ(武器屋)に石ころをぶつけた。







《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》


《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》




「順調順調」



PKペナルティが加速していき、同時に門番も加速度的に増えていく。

プレイヤーと並ぶ様に門番も歩いている。可愛いね。癒やしキャラとして運営は検討してみては?


まだまだコレからだ。




《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第四段階》


《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》



「……見つからないな」



――「おいなんか前見たぞこの状況」「やっぱりアイツのせいだったのか」「これなんかのイベント?」――



確か前は、このウェーブで見つかったんだよな。

真っ赤になっている名前を確認し、備えるものの――



『「『…………』」』


「やっぱ行けそう」



どうやら、隠密レベルが上がったからかこの前みたいに見つからない。

これだけでも十分な収穫だ。帰ろうかな。




《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第五段階》


《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》


《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》




「うわぁ(ドン引き)」



運営さん、流石に増やせば良いってもんじゃないっすよ。

あんだけデカい身体が16体もウロウロしてると違和感が凄いな。


……そして見つからない。

このまま放置してたら、このパターンだと新たな見回りNPCが出てくるはずだけど……。


看守の次ってなに? 看守長?

ワクワクするぜ!





「打ち止めか……(落胆)」



アレから数分。

待ってみたものの、看守は増えないし新たな見回りも出なかった。

考えてみれば、居たら普通牢獄に居るもんな。


残念。

“この先”はグリーンエルドってことだ。


……まぁ隠密スキルの有用性は良く分かった。

ココからは――コイツの検証を始める番だ。

どっちかというとコレが本番。




「よっ」


「えっ降りてきた!?」「き、来てない?」



地面に降りる。

その両手に抱えた“瓶”を、決して割らないようにね。


そして――熱い視線。

後ろ。

まるで、背中が焦げる様だ。



『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』



「うっさ」



相変わらず息がピッタリなそいつらは、大剣を掲げてそう叫ぶ。

出来れば16体全員釣りたかったが……まぁ十分だろう。



「お前ら危ないから離れてろ、爆発するぞ」


「「あっはい」」



なんか見てたプレイヤー達も、迫りくる彼らにビビったか離れていく。


周囲のプレイヤーは居ない。


20メートル先――8体の看守達。




「さぁ行ってみよう……『罠設置』」



《地雷を設置しました》



抱えた二つの瓶を下して、至近距離に地雷を設置。

そして後ろに数歩下がって準備完了。


そう。

これが、今の、正真正銘――




「――罠士の最大火力だ」




『五倍グレネード』

『大地雷グレネード』。

おまけに『地雷』を設置して。


まもなく、合計三つの爆弾が八体の看守をお出迎えする。

爆破範囲。爆破ダメージ。

検証にはこれ以上無いほどの状況である。


さあ、見せてくれ。

可愛い俺の地雷達よ!




「爆ぜろ!!」




《地雷が発動しました》

《大地雷が発動しました》

《大地雷が発動しました》





瞬間。

鳥肌が立つような、耳をつんざく爆音が――この街全体に伝って。






《 《 《 ダガー様に『瞬間最大火力バースト』の称号が移動しました 》 》 》






そのアナウンスも、同時に耳に響いていった。



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