悪戯


《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが発生します》

《PKペナルティ・第一段階》


リンカが行った後。

俺は、屋根から武器屋NPCに石ころを投げた。


『なんだぁ!?』


別にクソ店主にイラついたからやった訳じゃない。これは検証の為だ。


……お、ほら来た。


《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》


『どこだ!?』

『どこだ!?』


流石NPC、息ぴったしだ。

しかし見つからない様で、彼らはネズミのようにキョロキョロと探す。



《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》


《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》



「増えた」



思わず呟く。

全くこちらに気付かないまま時間が過ぎたと思えば、門番の数が四人になったのだ。


「楽しくなってきたな」



《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第二段階》



あ、やっぱヤバいかも。




《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第三段階》



《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》



「まずいことになった」


やばいやばい、数多すぎて気持ち悪い。

8人だぞ8人。


屋根の上なのに匍匐前進してるよ俺。


――「おい何だよこれ」「門番多くね?」「何かのイベント?」――


下のプレイヤーは困惑した声を上げる。

イベントではなく、門番が仕事してるだけ。


あーあ、どうしようこれ。

適当な所で降りて牢獄行こうと思ってたのに。


《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》


《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》

《始まりの街・門番 LEVEL???》



「もはや笑える」


プレイヤーより多いんじゃないこれ。

それでも全員が同じ顔じゃないのはゲーム制作者の心意気を感じるよ。


……つーか、さっきペナルティ上がらなかったよな?


ああ、気になってしまう。

すまん下のプレイヤー。もうちょっとだけ付きあってくれ。



《罪ポイントが加算されます》

《PKペナルティが加算されます》

《PKペナルティ第四段階》


《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》


「……」


――「おい絶対おかしいってこれ!」「なんで街に看守が居んだよ!」「イベントの情報なんて何も……」――



もう驚かない、そう思っていたがダメだった。そして俺の名前は真っ赤になっている。


初めて会った、リンカと同じモノ。

アイツ凄いんだな。


「……どうしよ」



迷う。

このまま経過を見てみたい、そんな気も――


『――ウオオオオオオ!!』


なんて。

そう思っていたら。


「ッ!?」


俺を、巨大な殺意が射止める。

見れば看守全員が、屋根の上の自分を見ていて。


……あ、逃げなきゃ。

屋根まで登ってくる気迫を感じる。


『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』

『――ウオオオオオオ!!』



「やっば――」



リンカの様にはならずとも、俺は屋根の上を走り――屋根と屋根を跳び伝って。



「ぐッ……はは、やっぱ凄いわアイツ」



もう2つ飛び越えればという時に。

俺は、地面に落ちた。



《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》



迫り来る奴ら。

戦闘フィールドまでは、後30m。

彼らとの距離は10m。


このまま走っても、彼らのスピードなら追い付かれる。

さあ、どうするか?



「――『高速罠設置』ッ――」



走りながら、そのスキルを発動。


《地雷を設置しました》

《地雷が発動しました》



「うぐッ――と!!」



設置した瞬間に地雷に足裏で触れる。

背を向けて、発射装置の要領!


「良いね――!!」


そのまま吹き飛ぶ身体を何とか支え、衝撃を利用しダッシュスピードを加速。


気分は追い風だ。

ちょっと強烈すぎるけど!


《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》

《始まりの街・看守 LEVEL???》


『ウオオオオオオ!!』

『ウオオオオオオ!!』

『ウオオオオオオ!!』

『ウオオオオオオ!!』



残り15m。

地雷、マジで使えるぞ。

落とし穴が嫉妬してしまうぐらいには。



「うおおおッ――!!」



避けていく観衆を背に、俺はダッシュ。

走ってくる看守は――すでに遙か後ろ。

あっけにとられるプレイヤー達を置き去りに――そのまま俺は走り去った。



そして気付く。



「これ、屋根の時からやっとけば良かった」



《始まりの街・戦闘フィールドに移動しました》

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