『地雷とは、罠士にとっての希望である』

二度目のログイン


《始まりの街でログインしました》


どうやら、闇市でログアウトしてもログイン時は始まりの街・非戦闘フィールドに移動するらしい。


……と思ったら設定で変えれるんだっけ。

闇市にしておこう。


《ログイン地点を変更しました》


――「おい見ろよアレ!」「え、レベルバグってない?」「確か最前線でもあそこまではまだ――」――



で。降り立つやいなや、周囲の声が聞こえる。興味ないけど。



「そういやステータス振ってなかった」



ログイン後、違和感で気付く。

罠に夢中で何も振ってなかったよ。


プレイヤー名:ダガー

職業:罠士


LEVEL20


HP:3000

MP:300


STR(筋力値):10

INT(知力値):5

DEX(器用値):8

AGI(敏捷値):17(+11)

VIT(体力値):5

MND(精神値):5


ステータスポイント:残り10ポイント

罪ポイント:【190】


skill:

罠設置LEVEL20

体術スキルLEVEL2

素手戦闘スキルLEVEL2

隠密スキルLEVEL1


装備 :始まりの革装備一式

所持品:『始まりの街』マップ HPポーション(小) MPポーション(小)

所持金:12000G


取得称号一覧

『罪を背負いし者』

『初めてのプレイヤーキル』

『看守殺し』

『大罪人』

『脱獄者』

『大物喰らい』

『お尋ね者』

『番人の宿敵』



あの看守との戦闘でも感じたがやはりスピードは重要だ。

AGIに振って、あとはいつも通りSTR。

一応殴るからね自分。

殴り罠士……うーん、しっくり来ない。


DEXは今のところ恩恵を感じない。遠距離攻撃の命中率、急所攻撃のダメージどうこうが関わるらしいが……今はまだちょっとでいいかな。

ちなみにMPとかは余裕だし、魔法なんて撃つ未来が見えないからINTとMNDは振る事なんてないだろう。

この辺のステータスの考察は、他プレイヤーがやってる事だし任せよう。

俺は気になる事しか検証しないんだ。

共に生きる仲間の為――そんな検証勢の様な立派な思想は持ち合わせていない。


自己中心的で良いんだ、ゲームぐらい。

ソロだしな!

大罪人だし! 世界なんて知るか。


《リンカ様からメッセージリクエストが届いています》


「ん?」


ソロとか言ってたらたった一人のフレンドから何か来た。

えっと、MMOの『ささやき』機能みたいなもんか。

まあいいや承諾しよう。


《メッセージリクエストを承認しました》


《『テメー何で一晩でそんなレベル上がるんだよ! おかしいだろ!』》

《『普通にレベル上げしただけだ』》

《『嘘つけテメー! 絶対ありえねぇよ!』》


一瞬でバレた。

そりゃそうか、一緒に狩りしたもんなコイツと。

罠士の狩り性能の低さはリンカが俺の次に知ってるはずだ。


《『ふはは、悪いな』》

《『……』》

《『ん?』》


黙り込むリンカ。

素直じゃないなコイツ、教えを請うのは悪ではないのに。


《『……だって。こんな一気にレベル離されたら、びっくりするじゃん……』》

《『お、おう』》

《『ねえ。あたし『同盟』にいらない……?』》


なんでそんな泣きそうな声?

いつもその感じなら可愛いのに。

ぶっちゃけコレはコレでちょっと面倒くさいけど。


《『心配すんな。お前は同盟の一員だ、この『情報』は共有する。安心しろ』》

《『じょ、情報』?》

《『詳しくは会って話す。フレンドメニューから俺の居るチャンネルに移動してこい、10分後ぐらいに』》

《『……分かった!』》


あ、声が元気になった。

ちょっとからかってやろう。


《『孤高のトッププレイヤーじゃなかったっけお前』》

《『うるせー!!』》

《『じゃ』》


《リンカ様とのメッセージを終了しました》



……と、いう訳で。

10分の間に昨日の検証の確認及び改良した考察を試すとしよう。

リンカも来るし、さっさと済ませないとな。この闇市で。


『地雷ジャンプ』の検証を。

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