デスゲームがずっと続けばいいのに

鏡 大翔

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第1話 羊飼いと子羊

 そこは真っ白な空間だった。

 部屋の壁も床も白。規則正しく並べられた三〇個の机と椅子も白。そして、部屋の正面の壁にはホワイトボードがつけられている。

 窓はない。扉は部屋の前後に一つずつのみ。

 ゴミひとつ、消しカスひとつ、ホコリひとつ存在しない。

 その潔癖とまで言える白い部屋は、どこか病室を思わせた。

 僕たちは、気づけばその白い部屋にいた。

 読川よみかわ高校の制服を着た僕ら二年四組全員は、気づけばその白い椅子に座っていた。

 いつの間にか僕ら全員の首には白いチョーカーが装着されている。軽く弄ってみるが、外れる気配はない。

 僕はチョーカーを外すのを諦め、自身の記憶を探る。……記憶が曖昧だ。と言うより、記憶の連続性が失われている。この部屋に来た経緯や理由はもちろん、その直前に何をしていたかさえ思い出せない。

 クラスメイトたちも同じく困惑しているらしく、周りを見回したり、仲間内でこそこそと話し合い状況を確認し合ったりしていた。

 と、そこへ

『やあやあ、みんな。はじめまして。私は「レイユ」。今 君たちをこのここに招待した張本人で、これから「ゲーム」を仕切る「ゲームマスター」だゾ☆』

 教室の正面のホワイトボード。白いスーツを派手に着崩した、ピンクのツインテールの少女が映し出されていた。実写リアルではない。どこかのキャラクターかなんかなのだろう。

 映し出された彼女は、明るい調子で話を進める。

『まあ、これから「ゲーム」についてはちゃーんと解説していくけど、みんな状況がわからず困惑してるみたいだから、簡潔かつわかりやすく今の現状を説明してあげるゾ。……ここは、現実世界から切り離された仮想空間。今からここでデスゲームをしますっ!!!』


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