異世界と弾丸
てんねんはまち
第1話 キャラクター作成?
――異世界転生。ある時から急激に人気を伸ばし、今となってはアニメや漫画といったコンテンツでもかなり大きなジャンルとなるまでに成長している。
その多くは何らかの強大な力を得て無双したり、前世の知識を使って何らかの功績を挙げたりといったものが殆どだ。
フワフワとした白い雲に、まるで飲み込まれてしまいそうな美しいダークブルーが広がる空。
顔は見えないが神々しく、背中から羽の生えた天使のような女性が俺達へと語り掛ける。
「はい、それじゃあ能力値を割り振ってくださいね。来世が何になるか予想しながら割り振るのがオススメです!」
ズラっと並んだ長机に簡素な椅子。
俺を含め、白い服を着た人が数えきれないほど並び、全員が机の上の紙にペンを走らせている。
まるで本能に突き動かされるかのように俺もペンを走らせているが、何を書いているのかは俺自身よく分からない。正確には分かろうと思えなかった。
思っていたのと違うな……。
そう口に出そうとしたが声が出ない。
頭もまるで猛烈な眠気に襲われている時のように、何かを考えていないと思考が吹っ飛んでしまいそうな不思議な感覚だ。
「次に生まれ変わるのは虫かもしれませんし、犬かもしれません。前と同じ世界かもしれませんし、違う世界かもしれません」
女性は機械的にペンを走らせている人々の紙を時折覗き込んでは、言葉を繋げる。
何やらボソボソと言っているような気もするが、それなりに距離があるせいなのか聞き取ることが出来ない。
「全体に均等に振り分けをする。というのは……賢いようで実はそうとは言い切れません。全体的に振っちゃうと確かにどれでも最低になるという事は無いでしょうが、大抵の場合ほぼ底辺といった能力値になるように設定されていますから」
紙を詳しく見てみると、与えられたポイントを自由に割り振るといった形となっている。
そのポイントはかなり多いように見えたが、それを割り振る項目がかなり多い。
そもそも、何故か気が付かなかったが紙は1枚だけではなく、20枚ほどはあるように思える。
犬、猫、ヒト、猿、魚、鳥、昆虫、ゴブリン、ドラゴン――聞き覚えのあるものから作り話にしか出てこないようなものまで、一部大雑把なくくりにされているようなものもあるがそれでも種類だけでもかなりの数がある。
更にその中に筋力、知力、敏捷、気力――といった項目がいくつもある。
もしもすべてに均等に割り振るとすれば、最底辺よりもほんの少しマシ程度になってしまう。
「あなたは次は犬……あなたはオークですね。ふふ、どうせ聞こえていないか……聞こえていたとしても認識できていないのでしょうけれど。あなたは……前世では上手くやっていたみたいですが……この振り方では来世では厳しいでしょうねぇ」
天使が近付いてくるにつれ、彼女がボソボソと何を言っていたのかを聞き取れるようになった。
どうやら彼女にはその人が何に転生するのかが分かるらしい。
「おや……この方はアタリですかね?」
天使が俺の前で立ち止まり、俺の紙を覗き込んでいた。
いつの間にか俺はペンを止めていたようで、どうやら彼女はそれに気が付いたらしい。
「これが偶然なら残念。もし意思が残っていたのなら幸運ですよ、あなたは」
彼女が俺の紙に触れると、それまで無意識に書き連ねていた項目が白紙へと戻る。
「あなたが次に生まれ変わるのはまたしてもヒト。まぁ……残念ながら元とは違う世界のようですけれどもね」
彼女の顔を見ようとするが、顔を上げる事すらできない。
「ヒトに特化させて振ってしまう事をオススメしますよ。信じても信じなくても構いませんけれどもね」
そう言うと天使は俺の前から立ち去った。
俺は彼女に言われるがまま、人間へと能力値を注ぎ込んだ。
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