第8話 幼稚な、TVレポーター。「大型連休に、おじいちゃんやおばあちゃんに会いましたか?」祖父や祖母のいない子の気持ちを、考えていない。

 「レイカ?」

 「何、お母さん?」

 「今どきって、中学生や高校生、大学生になっても、僕のお父さんは、僕のお母さんはって、言うのよね?人前で」

 「うん」

 「…幼稚」

 「はい?」

 「人前で、僕のお父さん、だってさ。就職氷河期世代が、みじめ。…裏で、笑われていないかしら?」

 「…?」

 「シューショクヒョーガキ世代っていう言葉は、わかるの?」

 「…聞いたことある」

 「そっか」

 「だって…。私たちは、いつも、その言葉を持ち出されて、ディスられるんだもん」

 「それは、ね?」

 「うん」

 「あなたたちが、じいじやばあばたちと一緒になって、その世代の人たちに、ひどいことをしちゃったからです」

 「…そうなのかなあ?」

 「レイカは、20 22年4月1日からの、18歳や19歳の子の一部成人化問題って、どう思うの?」

 「お母さん?」

 「何ですか」

 「話、飛んでない?」

 「…」

 「…」

 「レイカは、僕のお父さんは、僕のお母さんは…って人前でしゃべる男子と、結婚できる?」

 「…何が問題なのか、わかんないよ!」

 「課長!僕のお母さんが、この書類に、判子を押してくれました!お母さんがいるのって、当たり前で、最高ですよね!」

 「…」

 「そういう子、いるんですよ?」

 「…」

 「幼稚だと、思わないの?」

 「…」

 「TVのレポーターでも、いる。小学生の子に、突撃インタビュー。大型連休は、おじいちゃんやおばあちゃんに会いましたか?みたいなことを、平気で聞く」

 「…」

 「祖父や祖母のいない子の気持ちを、考えられない。違う意味で、幼稚」

 「…」

 「困るわよねえ。僕のお父さんは、お母さんは…。大学生とかでも、言うんでしょう?」

 「…人前で、僕のお父さんは、僕のお母さんは、おじいちゃんは、おばあちゃんは…。フツーの言い方だと、思ってた」

 「世代間ギャップ」

 母子の会話って、何なんでしょうなあ。





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