詰んでるのが日常

@honomaru

第1話 プロポーズは脅迫か?

 足が痛い。無理してクリスマス間近のデートだからとヒールのブーツを履くんじゃなかった。後悔しかない。すでに、2時間駐車場から歩いている。

モラハラ気味の別れたいけど、別れると何をされるかわからないので5年も付き合うことになった彼氏気取りの怖い人が隣にいる。

同じ会社に同期入社した年下クンはかなりの拗らせやろうで昔からヤンデレやら暴力をうける私の彼氏になってしまった。

隣の県の田舎のショッピングモールに車を駐車したのはいつものことだが、今日は訳の分からない道を歩き続け、今山を登っている。すれ違うのは車のみ人なんていない。

「どこに行くの?」

おそるおそる聞くのは何度目だろう

「いいところよ」

笑いながらいう。本人は爽やかにいっているつもりだが、モラハラとぎりぎりの暴力のこの人の笑顔はねちこい。

帰りたい。夕暮れの山を登りながら思う。あたりが完全に暗くなった時、割と有名なチャペル兼レストランについた。

寒くて足が痛い、私はレストランに入りたかったが却下だった。

「ここ景色きれいだね。」

私の目の前には弾丸絶壁にフェンスだけある田舎のそこまできれいでない夜景があった。

「結婚して下さい」

いきなりのプロポーズにびっくりする。

私に関係のないお気に入りの野球チームがまけらば私にブチ切れ、残業しているとまだ帰らないのかと脅迫メール、おまけに両親はアル中で性格が最悪。別れたいけど、別れたら会社を辞めないといけないなと悩んでいるところだった。あの義理両親とは親戚になりたくない。だけど、このまま断ると。私は殺されるかもしれないし、この山の中から一人で50キロ以上離れた自宅に帰宅できるのか・・・

涙がこぼれた。

「わかった」

この場で殺されたくなかった。

家について、やはり断ろうと思ったが、次の日おめでとうと義理親から連絡が入り、私は詰んでしまった。

彼は友人や会社でどれだけロマンチックにプロポーズして私が歓喜に震えたのか雄弁に語った。詰んだ。私は恐怖に涙したのだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詰んでるのが日常 @honomaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ