オレの抱く想い
応援歌練習が終わった後のある授業中、教科担当は高世たちをはじめとするクラスメート全員に応援歌練習に対する個人の見解を述べさせた。ある者は辛いと嘆き、ある者はお陰で強くなれたと喜び、ある者はやる意味があるのか、と疑問を呈していた。クラスの反応も様々で笑ったり、騒がしくなったり、微妙な雰囲気になったりだ。
(次は俺か、何言おう…。 今まで耐えていた分、ブチまけてやるか!)
「じゃあ、次高世さん」
教科担当がいった。高世は「はい!!」と勢いよく返事をし、立ち上がり、
「はじめに言わせていただくと、あの応援歌練習は全くもって不要だと思います。」という第一声から始めて。
あまりにも勢いよく言ったのでクラス中が静まり返った。。高世は続ける。
「言われた場所、時間通りに着いたのに遅いと怒られ、罵倒される。じゃあ自分たちが伝えられたあれは何だったんだという疑問が生まれました。それに加えて、『声が小さい、もっと出せ❗️』と言う言葉。これは応援の本来の目的を見失った愚か者の言葉に私は思えます。応援というのは強制されてやるものではないはずです。必死に頑張っている仲間を、同志を鼓舞するために行うもののはずです。確かに声の大きさは応援に必要な要素かもしれません。しかし、それが応援の全てではありません。あくまでも応援の要素の一つです。本当に大切なのは『思い』なんですよ。皆さん、私の言ってること理解できませんか。考えてみてください。自分が大会で試合をしている時、大好きな人に強制させられた感でただぶっきらぼうにでかい声で応援されるのと、確かに声は多少小さいかもしれないけど思いがこもった応援をされるのと。皆さんはどっちを選びますか?」
クラス中がシンキング・タイムに陥る。少し間を置いてから高世は続けた。
「私なら必ず後者を望みます。理由は皆さんもうお分かりでしょう。それと同じように考えてみてくださいよ。この応援歌練習で完成した応援をして闘う選手は本当に喜ぶか、どうか。絶対にノーだと思いますけどね。」
クラス中が高世の意見に賛同し始めている。
「そして最後に。私がもっとも許せないのは、いくら学校指定のものでないからと言って靴を脱がせて裸足にさせたこと。そしてそれを先生方は間近でみていながらそれを黙認していることです。これは体罰と何ら変わらないのではないでしょうか」
最後の言葉は紛れもなく、その場にいる教科担当を含めた天下高校全ての教職員への抗議の言葉である。
「この行事がなぜ、未だに続けられているのか。理解に苦しみます。先生方におかれましては再度、見直していただきたいとの提案を以て私の見解は以上とさせていただきます」
高世が言葉を切った次の瞬間、クラス中から拍手が沸き起こった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます