第6話

大学生活は、8人で何時も居たのに4人に

なり、寂しかった。

だが、平穏な日々を送っていた。

春樹のプロポーズは、健在だった。


「百合花~今日こそ結婚してくれ!」


「駄目!ハルーしっかり勉強しないと

お父さんの後を継ぐんでしょう?」


「勉強は、頑張ってやってるよ。」

そこに、誠二と美園が、やって来た。


「お前達は、まだ、やってるのか?」


「当たり前だ、大学も4年間毎日、俺は

プロポーズするんだ!」


「百合花、いい加減に受けてあげたら?」

と、美園が言う。


「美園、いい事言うねー美園1人でいいから

暗示掛けてくれよ!」


「ハルー、あんたね、私は高校の時に

3人から毎日、暗示を掛けられたんだからね!」


「それなのに、効かないのは何故?誠二

他にいい方法は無いかな?」


「まぁ、でも百合花は、中高と誰とも

付き合って無いから、それが、せめてもの

救いなんじゃ無いか?」


「本当だ、百合花は誰とも付き合って

無いな?何でなんだ?」


「ハルーが、あんなに毎日プロポーズ

して来たら、誰も寄って来ないよ!」


「百合花、それはいい事だ!」


「どこが!」


「おい、ちなみに誠二と美園は、彼氏とか

彼女出来たのか?」


「実は、俺達、付き合う事にしたんだ!

ずっと一緒だったし!」


「マジで?何で先にプロポーズしてる、

俺が簡単に、抜かれるんだよ!」


「ハルーそこは、おめでとうでしょう!

美園、誠二おめでとう!誠二、美園を

大切にしてね!」


「あー大切にするよ!ありがとう。」


「百合花、ありがとう。」


「百合花~俺も百合花の事を、大切に

するぞ?」


「ハルー、だから先に、おめでとうでしょ!」


「誠二、美園おめでとう!仲良くな!」


「ハルー、心配しなくても、俺達から

見たら、お前達の方が、仲がいいぞ!」


「本当か?聞いたか?百合花!仲良く

見えるんだってよ!」


「はい、聞きました!私は中学から

ストーカーに、付きまとわれてる様な

気がするけどね!」


「ハハハハ、百合花それは、言えるぞ!」


「誰が、ストーカーだよ!人聞きの悪い

俺は、プロポーズをしてるんだ!」


「百合花、何時まで続くんだろうね?」


「美園、恐い事を言わないでよ!」


「ハハハ、じゃあ俺達は帰るわ!」


「おう、気を付けてな!」


「バイバイ。」

何時も4人で、帰ってたのに、今日からは

2人で帰る事になる、百合花と春樹。


「じゃあ、俺達も帰るか?」


「そうだね。」

歩いて帰る2人。

家の近く迄、行った所で、春樹が声を

掛けられる。


「あのー里村さんの、息子さんですよね?」


「〇〇銀行の?」


「はい!以前、お父様が息子に、頼まれたからと、陽山様の所の融資を担当させて

頂きました。」


「すみません、お世話になりました。」


「いえ、こちらこそ、何時もお世話に

なって、これからも、よろしくお願い

します、では失礼します。」

百合花は、会話を聞いて


(えっ!何?)

と、思った。

2人になったので、春樹に聞いてみた。


「ハルー、今の融資の話って、うちの事

だよね?」


「あー色々、考えても15歳だった俺には

何も出来なくて、父さんと母さんに

相談したんだ!ごめん勝手に!」


「ハルーが、謝る事じゃ無いよ!」


「そしたら、父さんが取引先の銀行に

言ってくれて、もし駄目なら、父さんが

保証人になってやるって、言ってくれて

でも、普通に融資が出来たみたいで

会社が安定したら、百合花とおばさんが

辛い思いをしなくても、済むと思って

本当に、勝手にごめん!」


「ハルー、謝らないで!私、全然知らなくて

私の方が、ごめんね!うちの事でハルーに

しんどい思いを、させて、ごめんね

ありがとう、ハルー、おじさんと、おばさんに、お礼が言いたい、日曜日に家に行っても

いいかな?」


「いいよ、お礼なんて。」


「知った以上は、行かないと!」


「分かった、じゃあ日曜日な!」


「うん。」

家に帰って、百合花は融資の件を、お父さんと、お母さんに伝えた。

2人も、行くと言ったが、かえって春樹の家に気を使わせるからと、止めた。

手土産だけ、用意して貰った。

日曜日、百合花はその手土産を持って春樹の

家に行った。


「こんにちは。」


「おー百合花、上がれよ!」


「これ、おじさんとおばさんに。」


「いいのに。」


「お邪魔します。」


「いやー君が、百合花ちゃんだね?春樹が

ずっと、プロポーズしている。」


「はじめまして、陽山百合花です。今日

本当は、父と母も来るって言ってたんですが

初めての家に、沢山でお邪魔しても迷惑だと

思い、私だけ来ました、ずっと知らなくて

すみませんでした、それと、ありがとうございます。」


「百合花ちゃん、いいよ!その話は

それより、春樹と結婚する気になったかな?」


「えっ?」

(春樹は、お父さん似だな!)


「大学も経営学科に、通ってるんだろう?

卒業したら、うちに就職して春樹と2人で

後を継いでくれたら、嬉しいんだけどね?」


「お父さん、気が早いですよ。」


「いや、俺は百合花と2人で、後を継ぐから

待ってて!」


「大丈夫か?春樹?」


「もう、何年プロポーズしてると思ってるんだよ、なぁ百合花?」


「そうだね、長いね。」


「じゃあ、気持ちが決まったら、おじさん達に、教えてくれよ!」


「はい、分かりました。」

帰る百合花を、見送る春樹。


「もう決まったな、俺達の結婚は!」


「ハルー?卒業したら、仕事を覚えて

貯金して、結婚式も自分達でしないと

それじゃ無いと、駄目だからね!」


「クゥーまた、プロポーズの日々だな!」


「頑張って!」

大学を卒業して、2人で春樹の父の会社に

就職した。


「待ってたよ!百合花ちゃん。」

と、春樹のお父さん。


「頑張って、仕事を1日でも早く、覚えます

よろしくお願いします。」


「結婚は、どうなった?」


「仕事を覚えてからです、春樹君にも

言ってます、だから、まだ毎日プロポーズ

してます!」


「ハハハハ、そうか、しっかりした百合花

ちゃんなら、春樹にピッタリだ、楽しみだな!」


「ありがとうございます。」

そこに、春樹が


「百合花~結婚してくれ!」

と、走って来た。

お父さんの姿が、見えて無かったみたいだ。

お父さんの後を見て、慌ててる。


「百合花ちゃん、何時もあーなのか?」


「はい、ずっとです。」


「ハハハ、春樹まぁ頑張れ!」

そして、就職して2年が過ぎた。

百合花も春樹も、仕事は出来る様になって

いた。

貯金も、たまった。

そんな、ある日

何時もの様に、春樹が


「百合花~俺と結婚してくれ!」


「はい!」


「えっ?今なんて?」


「はい!ハルーの、お嫁さんになります!」


「嘘?本当に?」


「お互いに、仕事も出来る様に、なったし

貯金もたまったから、結婚式も出来る

でしょう?」


「やったー、やったー、父さんに報告に

行こう!」


「うん!」

2人で春樹の、父の元へいく。


「父さん、10年プロポーズして、今日

やっとO.K.を、貰いました。」


「百合花ちゃん、春樹で、いいのか?」


「はい、春樹君がいいです!」


「やったな!春樹、10年か?頑張ったな!」

結婚式当日


「ハルー、本当に私で、いいの?」


「いいに決まってんだろう!俺の惚れた

女なんだから!」


「フフフ。」

式が始まる。

同級生達の顔も、見える。

盛大な結婚式だった。

式の最後に春樹が、どうしても挨拶が

したいと、言い出した。

司会進行の人が


「最後に、新郎より一言、どうしても

ご挨拶がしたいと、言う事なので

変わります。」


「新郎の里村春樹です。今日は皆様

ありがとうございます。僕は新婦

百合花に、10年間、毎日プロポーズを

して、今やっと結婚出来ました。

でも、僕はこれからも百合花に、毎日

プロポーズをします!」


《同級生達は、こけている、春樹の父も

こけている。》


「ハルー、次は何て、プロポーズするの?」


「毎日、百合花、俺の奥さんで居てくれ!

と、プロポーズします。

これは、死ぬ迄します!それほど百合花は

俺にとって大切な人だからです。」

こけていたが、いつの間にか拍手が

起きていた。


「百合花~俺の奥さんで居てくれ!」


「は~い。」


永遠に続く、プロポーズ。



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10年のプロポーズ、まだずっとするよ! aki @nyontyun

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