第33話 早速敵に嵌められたのだが…
「2階にはいないっぽい。1階は?」
『こっちもなさそう。準備して、一気に行く?』
「まあ3階行った瞬間、すぐに戦うことになるからな」
そう言って、俺はこの荒れた廊下を走る。窓ガラスの破片が散乱しており、さっきの衝撃波で割れたのか。はたまた音羽が抵抗して、割れたものなのか。
この校舎に生徒が一人もいないことを考えると、うまくやってくれたなと思う。被害者を0にしつつ、しかも音沙汰なく音羽を連れ去るつもりなのかもしれない。
『とりあえず、階段で合流ね』
「おう」
中央階段で合流し、アリシアも2階の窓ガラスが割れていたと言っている。
「準備はいい?一触即発だよ?」
「ああ。連携うまく取るぞ!」
「うん!」
そう言って、お互い最後の階段を駆け上がりついに3階へとだどりついた。だけど、そこは…
「きれい、だね…」
「だな…」
とてもじゃないが信じられない。3階だけなにも起きていなかったようなきれいさだ。
「もしかして、相手からのフェイント?きれいに見せかけて実はどこかにいる、みたいな?」
「わからない。でも、どこかにいるはずなのは間違いないんだ。行くぞ」
だが、俺たちが3階の床に足を踏み入れた瞬間、異変は起きた。
ーーーッッッ!!!
強風が吹き、窓ガラスが粉砕されていく。ひどい割れっぷりだ。
「んんー!んー!」
もがく声が聞こえる。間違いなく音羽の声だと確信して、俺はすぐに教室のドアを開けると、そこには口を押さえられている音羽と、男が3人。
「音羽!」
いてもたってもいられなくなった俺は、思わず声を大にして発してしまう。同時に、2人の男が振り向くが、まったく動じていない。
早く音羽を救い出す一心で、俺はなにも考えずに剣を抜いて、内一人に向かったところで、ようやく気づいた。
「まじかっ!」
俺が教室に入った瞬間に発動するように設定されていた魔法陣。
さすがの俺も急に方向転換をするなんて物理法則を無視したことをすることはできない。ましてや、勢いのついた状態ではなおさらだ。
「ロワ!」
瞬きをする暇もなく、魔法陣は俺を包み込む。
〜〜〜〜
音羽さんと見られる声が聞こえた瞬間、走り出したロワ。こんなに焦っているロワを見たのは初めてかもしれない。
私もロワの後ろを付いていったら、この有様だ。
目の前でなんの魔法か判別ができない魔法陣の上にロワが立っている。
完全に嵌められた。
どうするかなんて、考える時間もない。
「んー!誰かは知らないけど、はい!ちゃんとキャッチして!」
「え!?」
音羽さんがなにか小さな物を私に向けて投げる。これを取らないと勝ち目がないのは火を見るより明らかだ。
「っしょ!」
なんとか、私はそれをキャッチしたものの、私までロワと一緒に巻き込まれる事態に。
「アリシア!?なんで…」
とても驚いた様子で私を見るロワ。
いや、私だって巻き込まれたくてきたわけじゃないからね?
私も魔法陣に入った瞬間に、その魔法は発動した。
そして、今私たちはーー
「なに?この空気の圧」
「なあ、終わったくね?俺ら」
「え?なんで?」
ロワが私に下を見ろと、指を差してくる。そういえば、今立ってはいないなと思いながら下を見ると。
「嘘でしょ?」
見えるのは非常に小さい建物。緑の塊にしか見えない森林。その他いろいろ、雲まで見える。つまり、私は今ーーー
「空から街に向かって落ちてる!?」
そして、ロワたちをうまく術に嵌めた本人は、
「運良くおまえを助けにきたお友達は今や1km上空から落ちてるはずだぜ?いい加減観念しな」
「へー、それはどうかなっ!」
音羽も必死に抵抗を諦めず続ける。信頼する“お兄ちゃん”が助けにもう一度空からでも戻ってくることを信じて。
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さて、全部移し終えました。これからもよろしくお願いします!
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