第31話 見覚えのあるものが空に浮いてるんだが…
1年生の対決が終了し、男女合わせて、現在の各学校のポイントが…
『西側 660ポイント 東側 180ポイント』
となっている。幸い、1年生の多くが時間を引き伸ばしたおかげでどちらにもボーナスポイントはほとんど入らなかったが、この状況はまずい。
約500ポイント差。
俺たちの方がたくさん勝てば問題はないのだが、ボーナスポイントも加えないと追いつけない。しかも、相手は初手からAクラス配置。俺たちのチームの最初の3人くらいが機能しないと言い切っていいくらいだ。
重たい足取りで、俺はレオンと一緒に監視カメラ室から出て、グラウンドを経由してそれぞれの会場に向かっている。どちらも異空間なのだけど。
「やばすぎないか?今の状況。これで俺たち男子か女子が負ければ敗北が確定したようなものじゃん」
「……勝てばいいんだよ。簡単だ」
「おぉ?言ってくれるねー?」
「まあな」
といっても、俺はさらに会長に”ある物”をもらったのだが…
『あっ!ロワくん!いいところに』
つい先ほど。グラウンドのテント前を通り過ぎたくらいに、会長が俺を追ってきていた。
『? どうしたんですか?』
右手には少し蛇行したなにかを持っている。そして、それを俺に渡してきた。
『これは?』
『一種の魔道具さ。ロワくんにピッタリだと思うだよ!』
『まさか、これを今から使えと?この危機的状況で』
『大丈夫!絶対にロワくんなら使いこなせるから!お願い!』
『はぁ…』
と、少しどころじゃないほどの曲がった剣?を俺に渡して、走っていってしまった。その後、レオンに聞いたところ、ショーテルという80%剣、20%魔道具の魔道具らしい。普通に剣として扱った方がいいと言われた。
「なあ、武器って2つ持ち込んでいいのか?」
別れ際に、俺は最後の不安を消すべく、少し震えた声でレオンに話しかけた。
「いいと思うぞ?だって、ルールには2つ武器を持ち込むなって書いてないだろ。あとで中にいる先生に聴いてみろ」
「お、おう…」
武器を2つ持ち込む。俺は自分が卑怯なことをしている気がして、罪悪感に苛まれた。
「ああ。構わんぞ」
「えっ!?いいんですか?」
「ああ。むしろ、私たちはそういうやつの戦闘法を見てみたいくらいだ」
「え、えぇ…」
まさかのぜんぜんオーケーだった。しかも、期待していたらしい。なら使わない手はない。
俺は、仕舞われているショーテルを取り出し、軽く物色する。
さすがの俺でもこんなに曲がった剣は見たことがないため、全力でどうやって使うか考えていた。
そんなとき、右耳に大きな声がした。
『ロワ、試合始まった?』
アリシアだ。戦況が不利なことに、俺がひっくり返すとでも思っているのだろうか。こんなわけのわからない魔道具を急に渡されて。
「なあ、ショーテルっていう魔道具知ってるか?」
『ショーテル?ええ、確か…剣みたいな魔道具よね?それがどうかした?』
「さっき会長にそのショーテルを使ってくれって押し付けられたんだよ。めっちゃお願いされた」
『へぇー、会長もおもしろいこと考えるね。でも、ショーテルの使い方知らないでしょ』
「解説お願いします…」
『わかったわ。実戦あるのみなんだけど、一言でいうと、ブーメランだね』
「ブーメラン?」
『あとは実戦で使ってみてー!それじゃ!』
「ちょっ!それってどういう…」
アリシアが強制的に通話を切った。大事なところは何一つ教えずに。
今さら気にしていても、仕方がないため俺は最終準備として、ショーテルに自分の魔力を馴染ませた。
「次ー!」
先生のコールがかかると同時に、俺の名前が呼ばれる。俺たちのチームは想定通りの惨敗だ。前5名が一瞬にして散っていったらしい。俺は見ていないためわからないが。
『先輩!がんばってください!』
最後の最後に、突然耳元からクリシャの声がした。
「おう」
俺はそのまま自分の剣とショーテルと、2つ持って相手の前に立つ。それと同時に周囲がざわつき始めた。
どうせ俺がなぜ2つ武器を持っているのかという自然な疑問だ浮かんだのだろう。俺もだった。
「両者、始め!」
コールと同時に、俺の相手が威圧として魔力の衝撃波を放ってくる。前に5戦もしたせいか、あまり強くなかった。
端正に着こなされている制服は、その人の強さをわずかながら、表していた。しかも強者の象徴ともいえる、通常の剣より少し長い長剣。
「君がロワ、なんだね」
リング内の俺にだけ聞こえるくらいの声で相手が言った。同時に、俺は受け身のをとり、急襲に備える。緊迫感を漂わせた俺に、彼は続けて動かずに話しかけてくる。
「音羽とはもう会ったのか?」
音羽というワードに、俺も驚きを隠せなかった。
「君、誰?俺の知り合いの顔じゃないことだけはわかるんだけど…」
「そうだろうな。俺もロワという人物を一方的に知っていただけだ。音羽を通じてだがな。俺はよくあいつに助けてもらっていた」
「そう…か。なんか身内がお世話になったみたいな、変な感じだな」
「やはり、ロワさんは音羽の兄にあたるのか?」
「いや、あいつが俺を一方的にお兄ちゃんと呼んでいるだけだ。まあ、俺も昔は音羽を妹としてみてたけど」
「そうか。通りで似てない点が多いと思った」
捉え方によっては失礼だぞー。俺は別にいいけど。
「似なくて本望だよ。……ところでなんだが、いつ試合を始めるんだ?」
「やりますか。あの音羽もが声を大にして称賛する実力、味わってみたかった」
「え、あいつ俺のことそんなに褒めてるの?」
「そうですね…月に3回くらいは聞かされますね」
「微妙な頻度!」
と、相手の人と親睦?も深めたところで、残り時間も半分になっていたため、俺たちは互いに鞘から剣を抜き出した。
そうして、すぐに試合が開始される。
「っ!」
剣と剣のぶつかり合う、鋼の擦れる高音が繰り返される。さすが、相手の人もAクラスなだけあって一筋縄ではいかなそうだ。
「……全力を、ここでは出さないのですね」
「まあな。俺はあと5人倒さないといけないから」
そう言って、残り時間がなくなりそうなところで、俺は剣を振りかざし、終わらせようとした瞬間だった。
「ロワ、やばいやばい!」
耳元から突然アリシアの声が聞こえた。今いいところなのに、なぜこういうときに限って…
「どうしたんだ?」
俺は呆れた声で返すと、アリシアは声を荒げた。
「とにかくヘルっ!プ!こっちはもう交流戦どころじゃない!」
と、俺が剣を降ろしたところで先生からコールがあった。
「試合中断だ!女子の方で緊急事態らしい!至急、そちらへ向かうぞ!」
待機していた生徒たちは、困惑している。もちろん、俺と相手の人も含めて。
「よいっしょ!」
俺は地に足をつけていた相手の人を支えながらゆっくり立ち上がらせる。怪我などはないのだが、疲労が大きいはずだ。
「急いでください。僕は多分そちらへ向かってももう魔力がないのでなにもできないと思います」
「だめだ。少なくとも男子本部までいっしょに行く」
「ありがとう、ございます」
少し掠れた声で彼が言うと、俺は「もう喋らない方がいい」と言って、無言のまま彼と本部まで支えながら行った。
「ギルファ、それが私の名前です」
「ああ。ギルファ、戻ってから話そう」
俺はそう言って、すぐにゲートと通じて東側の学園に戻る。すると、上空に見覚えのある船が浮いていた。
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ただいまとある原因がありまして燃え尽き症候群になっております自分がおります(笑)
このあとがきもタメ口で書いていいのかなって悩んでるんですよね。自分カクヨムに登録してそろそろ2ヶ月ですが、最近投稿始めたのでまだ早いかなと。
しばらく様子見なんだよなぁ。
というわけで!小説のフォロー、さらに一つでもすごく嬉しいので星を☆→★にしてくれると私のモチベーションに繋がりますのでよろしくお願いします!
↑燃え尽き症候群の人がなに言ってるんだ(笑)
ちなみに今これpc版から出してるのでほとんどであろう、スマホで読んでくださってる方は文字の場所が合ってないかもです。
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