第30話 少し強引なので教育を施してきた
ってきた音羽とともに、レオンと俺は再び仕事を始める。
「お兄ちゃん、あの後どうなったの?兵士の人たちは全員振り切ったの?でも、逃げ切ってないとここにはいないわけだし…」
「ちょっと待ったー、ごめんレオン。少しこの愛らしい妹に教育を施しくるわ」
「へいへい。妹自慢ありがとうございますー」
「あっ…すまん」
「えへへ」
口が滑ってしまった。レオンは早くいけと言わんばかりのなんの棒口調。そして褒められた本人は少し顔を朱くしていた。
俺は音羽を連れて、一度地上まで上がった。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「いいか、音羽。俺も音羽と話したいことはたっぷりあるけど、今はできる限り発言を控えてくれないか。後ろに先生もいたし、隣には俺の友達だっていたんだ。俺は友達に危ないやつだとは思われたくない」
「……わかった。今はお兄ちゃんのそばにいるだけで我慢…」
「頼む。音羽もあの地獄の生活に戻りたくないだろ?見たところ、音羽も今の生活を堪能してるみたいだし」
「うん!今の生活はすっごい楽しい!あそこに戻るなんて二度と嫌」
正直、今の俺には安堵しかない。音羽は異世界人だから、外での生活が馴染むかどうか心配していたところもあったのだ。
しかも、俺もだがここ数年、冒険者ギルド以外では一切音沙汰を残していない。だから、音羽が無事だったことが素直に嬉しい。
「よし、じゃあ戻るぞ。さっき言った通り、昔のことに関する発言は控えてくれ」
「え?じゃあ学校のこととかはいいの?」
「邪魔にならない程度に、な」
「やったっ!」
というわけで、重要事項という教育を終えて、ようやく俺は仕事に着手できるようになったのだった。
「なあ」
「ん?なにか問題箇所があったら随時モニターを止めていいからなー」
「いや、それじゃなくて…」
俺はしっかり仕事をこなす…というよりずっとモニターを見るだけだ。ちなみに、音羽はさっきと同じように俺の膝の上に座って足をバタバタさせている。
レオンは、俺ではなく音羽をジト目で見ていた。
「私、ですか?」
「あんた、ロワとはどういう関係なんだ?」
「……」
俺は一瞬話題を逸らそうともしたが、音羽の反応が気になり、結局口を閉じてしまう。
すると音羽は俺に視線を送って、許可を取ったかのように目を輝かせて言った。
「お兄ちゃん…です」
「血は?」
「繋がってない」
「つまりどこにでもいる優しいお兄ちゃん、みたいな感じか」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんだから!唯一無二だから!」
レオンの何気ない発言に音羽は厳しく突っかかった。無言で聞いてだけの俺は体が熱くなってきていた。
「めっちゃ懐かれてんじゃん。ロワ、なにしたらこんなに懐いたんだよ」
「別に…俺はなにもしてないけど?」
「照れてんじゃねぇ。モテ期がきてるロワさんよ」
「なんでモテ期なんだよおかしいだろ」
「これがモテ期じゃなくて何だってんだよ。幼なじみのアリシアさんだろ、後輩ちゃんとはそこそこ仲いいはずだろ、ここでさらに血が繋がってない妹。もうミニハーレムの完成じゃん」
「だからハーレムとかじゃないから」
「へいへい。俺がその気になればハーレムにしてやるから」
「しなくてええわ」
再び始まったくだらない会話をしていた俺たち。だけど、イヤホンから突然聞こえた声で一瞬で現実に引き戻される。
『ロワ!そっちに西側の学校の子行ったわよね?今すぐ連れ戻してきてくれない?その子、次も出場だから』
「りょうかいですよー」
そう言うと、俺は再びミュートにした。音羽の頭をやさしくポンっと触ると、その場から立ち上がった。
「音羽、なんか呼び出しくらってるみたいだぞ。来ないでとは言わないから、一旦戻れ」
「あーー、忘れてた。すぐに終わらせてお兄ちゃんのとこに戻るから。待ってて」
「お、おう」
すぐに終わらせるということは、俺たちの方が秒殺されるってことだけど、音羽とはまだ積もる話もあるからな…
「ちゃんとチーム事情と私情の二択選んでんじゃねえよピュアか」
「ピュアで悪かったな!」
音羽が
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これから、交流会パートが終わってからアリシアを甘やかしてみたいと思います。
あれ?幻覚?いえいえ、もちろん文字でですよ?これはネタバレではありません。だって投稿するかどうかわからないから!!
いわば練習ってやつです。
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