第21話 よくわからない事故発生…
ロワがすっかり眠ってしまい、私もなぜか数十分前の記憶があまり鮮明に思い出せない。なにか変なこと言ってなければいいんだけど…
包丁で野菜を切りながら、今の生活の楽しさ、おもしろさ、平和さを改めて振り返る。
小さい頃に白衣をきた人たちと、その近くにいた黒ずくめの人たちから忠告を受けた。
その頃は、知らない人が自分に訳の分からないことを言っているという記憶でまとまっているのだが、白衣をきた人から告げられた言葉は今でも覚えている。
『いいかい。お嬢さん。この子はね、とても危険な存在なんだ。だから、あまり近づかない方がいい』
『お嬢さんの友達を奪ってしまってすまないけど、これも国を守るためなんだ』
あの頃ーー今でも、私はなぜロワが連れ去られていったのか、よくわからない。本人に聞いてみたいところなのだけど、もしかしたらロワの辛い記憶を蘇らせてしまうのではと恐れている。
だけど、明らかにおかしい点がある。それは、ロワの魔力だ。昔はまだ魔力など、未知の存在だったため、わからなかったが、今はわかる。
明らかにロワは魔力を誰かに封じられている。しかも、本人が元から少ないと言っているということは、小さい頃にされて覚えてないのか、それとも記憶を消されたかのどちらかだ。
「でもねぇ…」
呟いて、私は久しぶりに作ってみたコンソメスープの味見をしてみる。うん!まあまあ良い出来!
話を戻すと、私はロワの魔力が封印されていると思う。なんらかの理由で。もし、本当にこの世界を危険に晒す魔力なら致し方ないとしても、そんな魔力などまず存在しないはずだし、聞いたことも見たこともない。
だから、謎なのだ。だけど、おもしろいのが、ロワはずっと少ない魔力だけで冒険者をしてきて、さらに復帰者チャンピオンを取った。
このロワの事情を知っている人からすると前代未聞だろう。
魔法なしの純粋な剣技だけでトップ冒険者。間違いなく今のロワの剣の実力は全冒険者の中でも一二を争うくらいだ。
続けて、フライパンを取り出して微熱で少しずつ加熱させながら人参や玉ねぎを冷蔵庫から取り出す。ついでにじゃがいもも。
そんな鬼に金棒状態のロワを見てみたくないと言われると嘘になるし、むしろその状態のロワがいかに最強なのか気になる。
冒険者ギルドは全国共通の機関で、その出来事はよくニュースなどに取り上げられる。だから、ロワが優勝したことももちろんニュースなどに取り上げられているはずだし、私もその記事を立体映像フォンで見たことがある。
だから、ロワの魔力を封印した人の耳にも入っているはずなのだ。
それなのになんの行動もない。謎は深まるばかり…
それでもポジティブ思考をした。なら、ロワの魔力を増やしてあげればいい。
そんなことを考えるようになった私は、あることを思いついた。
(魔力譲渡は、できるのよね?)
魔力譲渡。一般的には魔力をためた、もしくは多く含んだ石を持ち歩いたり、飴を食べたりすると主の魔力が増えるという仕組みだ。
もっとも、その石や飴は人の魔力にしか作れないため、魔力譲渡と言われている。
でも、魔力譲渡は簡単ではない。石を作るにも、飴を作るにも難易度マックス。飴なんて常日頃から魔力譲渡をしている人じゃないと作れない。私には石だけで限界だ。
(でも…)
近年、新しい譲渡方法が発見されている。その中で一番有名なのが手をつなぐ、スキンシップをたくさんするなどだ。
石や飴による“間接的譲渡”ではなく“直接的譲渡”と、私は区別している。
そこでだ。私はここ最近の行動を振り返る。
ロワとスキンシップは結構してると思う。手を繋いだことはないけど…ロワの魔力が増える様子はない。
じゃがいもの処理を済ませてから、8等分に切る。そして、じゃがいもから順にフライパンに放り込む。
少しだけスパイスを入れて味付け。このまま1分間放置したら野菜を全て皿に乗せて、野菜パート終了。
その後、疲れていたため、いろいろと大変だったけどもなんとかステーキの料理を終わらせた私は、まだ眠っているロワを起こす。
「ロワ、起きてー」
そう言って、私はロワを軽く揺らす。だけど、あまり起きてくる気配がない。
「起きてってばーー晩ご飯だよーー」
ピクリとも動かないのに息はしている。
ロワの寝相が良いのは意外だった。それでも一向に起きる気配はないため、私は強制的な手段にでた。
「起きないと、イタズラしちゃうぞ?」
ロワの耳元で、この囁き。しかも、小声で甘めの声を意識して出したから多分それらしくはなってるはず!
「……んがぁ?」
「おはよう」
奇声とともに、ロワがようやく目を覚ましてくれた。
「なあ、さっきなにか言ったか?悪戯がどうとかって聞こえたんだけど…」
「い、いや!?別に」
「そうか。じゃあ夢か」
「ほらぁー、また変な夢見てたんじゃないの?」
「またってなんだよ。またって…」
なんとか場を茶化すことはできたみたい。危なかった。
あれをロワに聞かれてたらここ数日はロワと顔を合わせられないくらいだったから。
顔が赤くなっていそうだったから、すぐにキッチンに戻った。ちょうど洗い物残ってるし…
「あ、ごめん。晩ご飯作らせてちゃって」
「ロワ、すぐに寝ちゃったから。よほど疲れてたんでしょ」
「そうだけど、なんかさっきよりかは体が動くし、なにより魔力が増えた気がする」
「え?うそ…」
「いいや、本当だ。今なら軽く魔法を使えるぞ」
「そ、そっかー。とにかく、水でも飲んでご飯食べようねー?」
私は、そのままキッチンの水道をコップ一杯用意してテーブルに置いた。
(うそでしょ?私、なにしたら魔力譲渡できたの?まさか、あの囁き?なんでー!?)
アリシアの心の叫びは、部屋中に響き渡りかけたくらい大きかったのだった。
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どうもです。改稿する時間がマジでないです。やばいです。どんどん溜まっていきます。このあと私は悲惨なことになるのでは…
というわけで!フォロワーさんもゆっくりではありますが増加傾向にあり!やる気がめちゃくちゃというほどではないですが、昔と比べたら比にならないくらいに上がりました!
こうして移している間は新しく書くのは厳しいですが、終わり次第執筆したいです!
というわけでいつもの!!
小説のフォロー、さらに1つでもいいので★をつけると作者のモチベーションが上がるかも!?
よろしくお願いします!
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