裏表紙

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20__年 2月 __日 天気は快晴!


今日の予定は引越しの準備。


「よし!引越しの準備するぞ!」

古びた木造建築の家の中、私は声をあげて、ダンボール箱に次々と物を詰め込んだ。

「張り切りすぎると怪我するよ。」



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「え?」

自分の目が信じられなかった。

今日の私の行動が全て、書かれていた。

「いやいやいや…。何かの冗談だよね?」

震える声で独りごちる。冗談じゃないことなんて、自分が1番分かっている。

例えば、この日記を明日の私が書いて、その通りに行動していたとするならば、何の問題も生まれない。だけど、私は私の人生で『既に』起こったことしか日記には書いていないし、こんなもの書いた覚えもない。

どうしてか分からないぐらい冷静に考えている脳とは反対に、ドクドクと脈打つ心臓の音が、煩いくらいに耳に響く。


「…思い返してみれば、」

おかしかった。違和感を感じるべき事は沢山あったのだ。

小学生 中学生 高校生 の頃の3冊の日記全てが

"全く同じ"ボロボロさだったこと。


「最近出していない」とお母さんが言った、サンドイッチを何度も味わった感覚に陥ったこと。


極めつけは、『今すぐ日記を閉じろ』の手紙。あれは、高校生時代の嫌な思い出を読まないようにするためでは無かった。

何度目かの"今日の私"が、書いたんだ。


「私は、今日を何度も繰り返してるってこと?」



起こった出来事を整理して、口に出した途端、恐ろしさが増した。

水を浴びたかのようにびっしょりと冷や汗で濡れた背中がそれを物語っている。


ぐにゃぐにゃと視界が歪んできた。何か、何かしなければ、また"今日の私"に戻ってしまう。

そう考えて、近くにあったメモ用紙を一枚ちぎり、震える手でペンを掴んだ。


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今すぐ日記を閉じろ


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と書き残して、最後の力を振り絞って日記へ挟んだ。


「あ、おばあちゃんの言ってた『日記の不思議な力』ってこのこと……。」



視界の歪みが強まっていく。

耳も痛くなってきた。不快感を覚えるほどの耳鳴りと共に、私の意識は消え去った。


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