受験と人間から逃げ続ける勇者の冒険譚

ありんこ

第1話 覇権を追え!逃げる勇者に休息はない!

俺の名前は勇者だ。

…え?名前は無いのかって?

勇者って言ってるじゃん。俺は今世界最強になるための力「覇権」を巡っている。覇権って言うのは、うん、ボールだね。テニスボール位の大きさの。俺の幼馴染の魔王君も世界最強になりたいらしいから。2人で覇権を巡り争ってる。僕も魔王くんも中学3年生だ。俺も魔王君も受験勉強をしないといけないのだ。しかしそんな事やってられない。最強になれば受験もクソもないのだ。どうやらその覇権ってやつはロンドンのドンペルトンさんちにあるらしい。ここは日本の鳥取砂丘、結構遠い。そして俺はいま全力で空港に向かっている。もちろん走るとバテるからチャリだ。え?瞬間移動出来ないのかって?うるさいなぁ。ドラ〇エとは違ってル〇ラ使えないんだよ。鳥取砂丘には魔王君の手下が沢山いる、行く手を阻んで来るが戦ってる暇じゃない。俺のこの愛車のチャリ公で突っ走る。後から追ってくるがしょうがない。俺って結構ビビリだから平和主義者を口実にして戦いを避けている。だって〜炎とか暑いし骨折れたらチャリ乗れないし。魔王君はちなみに200m横をオフロードバイクを漕いでいる。魔王君ちはお城に住んでるの。裕福だから高いチャリなんか余裕で買える。俺ん家なんかしょぼい家。帰ってきたらお母さんが飯食わせてくれて、友達連れてたら無理やり泊まらせてくれる位だ。だから友達からついたあだ名は宿屋の息子だぞ。俺は勇者だっての。そういや、行く手を阻む魔王軍だが、チャリで大抵はね飛ばしてる。そろそろ魔王軍から通報が入って警察も俺を追う所だろう。何とか逃げながら俺は羽田空港に到着した。遠かったー。羽田空港にチャリを違法駐輪した。警備員が鬼の形相で追ってきた。焦っていたためハンカチを落とした。それを見ていた心優しい青年が俺にハンカチを届けようと俺の事を走って追ってきてる。俺はチケットは前もって予約しておいた。荷物検査だが、俺はそんなの関係なく突っ切った。俺は勇者だから剣を持っている。だからそれが金属って事で荷物検査引っかかった。そんな事はどうでもいい。早く飛行機に乗らねば。魔王君も後ろを走っている。あ、そういや今日補習の日だった。先生がきっと俺の事追ってるはずだ。

「ねぇ魔王、お前も補習だっけ。」

「え?あ!そうだった…先生怒ると怖いし帰る?」

「いや、それはちょっと…ねぇ。覇権ゲットしたら先生もやっつけられるぜ。」

「だな。」

あ、いけね、パスポートも忘れたわ。ま、いっか。

飛行機に搭乗出来た。キャビンアテンダントさんはびっくりした様子で俺たちを見ていた。何とかA-1に乗れた。俺と魔王でA-1とA-2を予約しておいたのだ。俺が窓際だもんね。

「あっ、ずるいぞ勇者。」

「窓から綺麗な景色を眺めるのはこの俺だ!」

どうやら俺は既に沢山に人に追われているらしいな。

魔王軍、先生、警備員、警察、青年、荷物検査の所の人、あ、あとお弁当忘れたからお母さんも。

それと!受験勉強と苦しい現実から逃げてるぜ!

飛行機はもう出発した。どうやら俺を追って、「勇者と魔王を追う便」が今離陸したそうだ。

俺はしばらく空の旅を楽しむ事にする。が。窓を除くと魔王軍が飛んできて俺に波動を放とうとしてる。

「いくら勇者でもこの数は無理だろ。降参するなら飛び降りな!」

「降参してたまるかよ!」

俺はMPの量には自信がある。窓から追ってくる魔王軍を俺は狙いを定めて呪文を放つ。雷系の呪文が魔王軍を焼く。しかし沢山いるのでキリがない。まあ気合いでバンバンうってるとようやく魔王軍がいなくなった。

「あいつら雇うの高かったのにな…。」

ホッとしたのも束の間、キャビンアテンダントがワゴンを引いてこちらに向かってきた。キャビンアテンダントは俺たちに

「ビーフオアチキン?」と聞いてきた。

英語1の俺に聞くことではないな。魔王は「ビーフアンドチキン。」と答える。まずい、俺は重度の鳥肉アレルギーなんだ、しかしあのキャビンアテンダント、仕事はそつなくこなすタイプだと俺は睨んだ。俺にチキンを渡すまで永遠に追ってくるはずだ…!こうなったらトイレに駆け込むしかねぇ!

俺がトイレに向かおうとすると、魔王がそうはさせまいと後ろから追ってくる。俺は何とか走る、後ろからキャビンアテンダントが「ビーーーフトチキンデェーーーース」と言いながら俺たちにチキンを投げつけてくる。俺はそのチキンをかわしながら走る。俺は何とかトイレに着き鍵を閉めた。しかし俺が開けた瞬間にキャビンアテンダントは俺にチキンを渡すだろう。そうしたら俺の人生は終わってしまう!!!!

「!!」

こうなったら!

「キャビンアテンダントさん!チキンは魔王です!」

キャビンアテンダントさんは魔王に向かって走っていった、実は魔王もチキンアレルギー。でもチキンラーメンは食べれるらしい。俺はトイレから出た。そして魔王の声で微かに「俺ビーフアンドチキンじゃなくてビーフアンドビーフっていったんですよ!」と聞こえた。これで何とか一件落着。俺は再び座席に戻る訳だが、トイレから人が出てきた。なんで!?誰か入ってたか!?どうやら俺は気づかなかった。トイレには鍵をかけずにう〇こをしていたおっさんがいたのを。おっさんは怒った様子で俺の事を追いかける。刺青を入れていて目に傷があるから多分任侠だ!まずい!座席に逃げろ!ただ任侠の手下のチンピラどもが乗ってたらしく、俺に足を引っ掛けようとしてくる。俺は何とかジャンプでかわす。そしておっさんはD席の所で立ち止まり覚えてろよと吐き捨てた。俺は何とかA席に戻った。魔王が牛肉を食っている。ほれ、お前の分。と言って牛肉を差し出す。やべ、そういや俺牛肉もアレルギーだ…。魔王は牛肉を持って俺に殴りかかってくる。俺は何とかその攻撃をかわしていく。だがこのままだと拉致があかない。そうだ。魔王特有の弱点みたいのがあるはず。こいつ魔王だし。そうそう、魔王っていうのは基本攻撃は効かず、弱点しかダメージが入らない物なのだ。魔王の弱点は頭にある経絡秘孔!俺はすかさず反撃!ほぁたー!そうすると魔王は気絶した。気絶したら牛肉を魔王の口の中に押し込め!これで暫くゆっくり出来る。とも思ったら虫が来た!サイアクだ!蚊だ!ジョジョのタワーオブグレーみたいな感じな動きしやがる!ちょこまか動きやがって!殺せねぇ!蚊に刺されるとかゆいからやなんだよ!そうだ!俺には物体修復の力がある。だから窓から飛び出て蚊を外に出す!そして俺だけ戻って修復だ!俺はエネルギーこそ使うが空を飛べる呪文も使える!俺は窓を破壊し修復、空に飛び出て右往左往!蚊はうざったらしくついてくる。空だったら乗客に被害が出る事もない!呪文を使えるぜ!蚊に向かって敵エネルギーを発したが、風向きの関係で俺が敵になってしまった。俺に呪文が来てしまう。やばい、これは確か自動追尾機能付きだぁ!!!!俺を追尾するなぁ!!!俺は何とか逃げる逃げる!蚊と炎から!そうだ!この自動追尾を何とか蚊に当てればいいんだ!蚊はこっちに来るとこっちに移動するから…

こうだ!!!!蚊になんとと命中!蚊は力なく地上へ落ちていった。窓をまた壊して戻ろう。そう思ったのだが。魔王が何と起きている。しまった!魔王の魔法が来る!闇系の呪文が俺を攻撃する。俺は何とかかわしながら窓へ向かう。畜生。こんな事したくないのに。なんとか窓に辿り着き窓を破壊し修復!

ふー。何とか席に戻れた。すると魔王が。

「勇者、暇だしカードゲームでもしようぜ。」

そう言うと魔王はトランプを出した。

「いいよ!やろうぜ!」

「へっ!かかったなアホが!このカードは呪いのトランプだ!俺とのババ抜きに負けたらお前は死神にやっつけられてしまうのだ!」

な、何ィ!!!!!

「もうお前はやろうぜ!と言った!契約は成立した!」そう言うと死神が通路に現れた。

「あ、どうも、死神でーす。ユーネクスト見てたんで早く終わらせてねー。」

魔王は俺にカードを配り終えると、手札を整理した。

これは心理戦だ…。きつい…。俺は魔王より頭が悪い…!!こんな事なら賢さの実をもっと食べておくべきだった。

「さぁ!俺から引くぜ…。」

どうやらジョーカーは魔王が持っているらしい。

おれはそのままババ抜きを続行、ジョーカーを引いたり、または引かれたり。攻防が続く。

そしてとうとう…!!!

魔王のカードは2枚!

俺のカードは1枚、ハートの7。俺はここで意地を見せて死から逃れてやるぜ。

しかし、俺がどのカードを引こうとしても魔王は一切表情を変えない。これは2分の1の賭けだ…。


どうすれば…。


!!!!!!!!!

そうだ!俺の呪文には箱の中にミミックがいるか否かの呪文を使える。これの応用で…!!

赤く光った!なら…!これがハートの7だぁぁ!!!!!!!!

見事的中!!!

「なっ…!!バカなァッ!!!」

「あ、それじゃあ俺帰るわ。じゃーね。」

死神はそう言い放つと帰って行った。

魔王は悔しそうな表情をしていた。いい気味だぜ!

そんなこんなにしていると、飛行機はロンドンに到着した。俺と魔王は全力疾走で飛行機を抜けていった。

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