第36話 開戦
36
「
西暦二〇X一年、一一月二五日昼。
「ありがとう、出雲君。矢上先生も、遠亜っちとアタシを信じてくれて、嬉しいよ……」
「
「いいや日本人さ。イケてるだろう?」
「え、ええ。カッコいい、と思うわ」
逃亡者二人は、
「皆、力を貸してくれ。カムロさんより先に無法者を制圧して、戦争を止めるぞ!」
「オーケイ。眠っちまったイナバのガキ二人も守らなきゃな。相棒のおかげで敵戦力も把握できたし、分断してブッ
「焼かれる里はイナバが最後サメ。悪いテロリストにはお仕置きサメ!」
「兎耳の子供達は巻き込まないよう、見張り小屋に隠しましょう。お姉さんも協力するわ。
「乂、紗雨ちゃん。さっきの索敵で自信が持てた。隊長の
桃太は、息をこらして山林の茂みに潜み……。
林魚を先頭に、鬼の仮面をかぶった冒険者四人が山道を通り過ぎた瞬間、奇襲をかけた。
「てめえっ、行方不明の劣等生か!」
「裏切り者同士、柳や祖平と組みやがったかっ」
〝
桃太が枝をかき分けて飛び出すや、鬼面から見える瞳を真っ赤に光らせながら振り返った。
「ひゃはは、〝
「おれ達はあれから、
研修生三人は、桃太も戦った怪物、魍魎から
「そうか、強くなったんだね。だけど、俺だって厳しい修行を乗り越えたんだ!」
桃太は、異界を巡る自然の力を借りるべく、
「〝
「「「あばあああっ」」」
桃太が手刀で薙ぐや、不可視の衝撃が浸透し――、三人は握る棍棒がポッキリと折れ、着こんだ鎧もバラバラに粉砕、鬼の仮面を顔から落として膝をついた。
「つ、強いっ」
「レア装備がこうも簡単に壊されるっ。勝てるわけねえっ」
「誰だよ、こいつを劣等生なんて呼んだスカポンタンは?」
とはいえ桃太はいまだ未熟で、技の有効射程が二メートルと短く、リーダー格の一人を倒し損ねた。
「また会ったな。そのリーゼントは忘れもしない。
「サマをつけろや、出雲桃太。おれは出世して隊長だ。追放された劣等生や、おっ
残る〝
かつて桃太に
――――――――
あとがき
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