欲しい物と厄ネタは大抵セット

 時間はやや戻る。


 協定会議を準備中の1月3日に英地中海艦隊がエジプト国境に近いリビアのバルティアを砲撃した。


 ロンドン空襲で空軍戦力が目減りした上に海軍がタラント空襲以後ナポリに引き籠もってしまった為、密度が薄くなり対応が遅れ迎撃に失敗。


 その為という訳ではないが戦略爆撃部隊が任務のロンドン空襲を終え本国に帰還。


 本土に居た部隊や育成中の部隊は押し出される形でリビアに転出。


 リビア内陸は夕立のような雨が年に数回降る以外殆ど晴れで、油田もある事からエンジンや機体の整備に悪影響を及ぼす砂塵を除けばこれ程搭乗員養成に向いた場所はない。


 後に参戦した米軍はリビアを『ファシストのテキサス』と呼んだが霧の都を持ち開戦後にシーレーンが脅威に晒された英国や、日射量がアルプス以南の半分しかないドイツからすれば一人前の搭乗員を2年で育成出来るイタリアや米国が羨ましかった。


 英軍は暗号解読で空軍の飛来を知ったが不慣れな内に叩こうと10日に再攻撃を行った。


 これに対しイタリア空軍は現地の気象に明るい搭乗員の先導を受けた本土からの増援部隊で迎撃。


 英本土より中東軍は電子戦能力が資材、スタッフ共々劣っていた為迷子になる事もなく、イラストリアスを大破させアレキサンドリアに追い払った。


 翌週の16日に行ったアレキサンドリア空襲では取り逃がしたものの、工廠を破壊した為満身創痍のイラストリアスは喜望峰回りで本国に撤退。


 イタリアは英国より投下量だけでなく航空機製造拠点が近い為打撃力や密度に差があった。


 英地中海艦隊を一時無力化し、マルタ島を制圧している事から海上も地中海の東西から侵入する潜水艦以外の脅威はなく、1月28日にはロンメルが2個師団及びイタリアの増援と共に北アフリカに上陸。


 だが上陸地点で物資が滞留した。


 兵器の受領等で想定以上にスペースを取られた事もあるが、オイルマネーで史実より港湾は発展していたものの前線まで一本しかない道路は狭すぎたのである。


 トブルクより更にエジプト国境に近いバルティアは港があったが元の能力が小さく、上述の艦砲射撃から機能回復の途上にあった。


 海岸線に平行に走る形で既に存在した軌間95cmの単線路を標準軌に改軌すると共に、より内陸に(と言っても陸側に隣接する複線形式)で新線を敷設しょうとしたが作業機械の一部と建設資材が自動車道路と競合。


 燃料も共通だが上記に比べれば消費量は桁違いに少なかった。


 問題は他にも有り、イタリアとドイツで兵器体系、地上部隊の燃料他車両部品、電圧が異なる事が貧弱な補給に更に負担を掛ける事に。


 共通なのは航空機燃料、変圧器が内蔵されていた通信機器全般、20㍉弾程度で補給以外ではグアダラハラの戦い以後ドイツ式に改められた軍制位であった。


 独のレーションはイタリアと比較して脂肪分が多く傷みやすかったが、スペイン内戦時にフランコをスペインに送る為モロッコに展開した空軍部隊の助言で輸送直前にイタリアの物へ変更。


 北アフリカの枢軸軍は装甲火力は強化されたが補給面で弱点も増え、海上からの圧力が薄くなる3月のギリシャ侵攻を待った。





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