マルタ陥落とその後
詳細が明らかになるとイタリアは歓喜に湧いた。
残りの艦艇を捜索すべく夜明けと共に地中海沿岸各地から哨戒機が飛んだが、敗報を聞き既に反転していたカニンガムはレーダーを駆使しながら辛くも撤退、戦力の蓄積を図る。
見捨てられたマルタ島は奮闘したが現地に反英勢力が居た事、制空、制海権を失い水を始め物資不足に苦しんだ事から十一月九日に降伏。
先のヴァリアント沈没と併せてチャーチルにとって今年最悪の十二日間となった。
マルタ上陸以後圧力が消えたイタリア〜リビア間の物流は回復し、エジプトのナギーブ少佐からの情報で当分の間地上侵攻はないと判断したグラツィアーニはシディ・バラーニ周辺に展開していた15万の兵力の一部を本土からの増援に併せて消耗品を残し後方に回送、休養に充てた。
前線の兵力は徐々に減ってはいるがそれでも三倍以上を維持。
中東方面はドデカネス諸島、インド洋は東アフリカからの航空偵察や通信量で敵兵力の増減をある程度は推定出来、対する英・エジプト軍も酒とギャンブルに溺れ、現地人を見下す英軍将校への反発が強かった為機械化率以外劣勢であった。
11日に英軍が復活した戦艦群とイラストリアス、イーグル等を引き連れてタラント空襲を実施。
イタリアは出港したとの情報を掴んだもののギリシャ沿岸を西進して来た英艦隊の捕捉に失敗。
海軍航空隊はこれまでの戦訓からレーダー探知を避ける為低高度から侵入。
しかしレーダーはソード・フィッシュに同行していた金属製の護衛戦闘機フルマーを探知、迎撃態勢を整えた後に飛び込む形となった。
イタリアの艦砲の殆どは仰角不足で対空砲には不向きだったが阻塞気球で侵入経路、高度が限定された上に相手が低空飛行していた為、2波40機からなる空襲で6機を撃墜、9機を廃棄させた。
だが被害は甚大で、ダンテ・アリギエーリ、カブール全損、カイオ・ドゥイリオ、リットリオ大破、重巡トレント中破、駆逐艦リベッチオ小破。
貯油施設も一部火災が発生する等ジブラルタルを凌ぐ損害を蒙り、無傷の艦はナポリに引き上げたもののイタリアがマルタ島を保持していた為英軍は動向を把握出来なかった。
護衛艦艇や燃料面の不安から物流に支障が生じグラツィアーニは攻勢を無期延期。
日本海軍はタラント空襲を研究する際燃料タンクも攻撃対象に加える事にした。
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