マルタ島攻略とその前哨戦
ジブラルタル空襲以後、アドリア海以西の制海、制空権はイタリアが確保していた。
ジブラルタルを根拠地にしていたH部隊は喜望峰ルートでヴァリアント等一部戦力を分派、残りをスカバ・フローに移し、前根拠地の修復を急いだが復旧は早くても11月と予想された。
伊空軍は空襲時の損害から1ヶ月は出撃を控え、戦力回復に努めていたがP.108の打撃力を聞いたヒトラーが英本土空襲への参加を要請。
史実と異なりスペイン内戦でMe109の航続距離が短い欠点を独空軍は把握しており、内戦前半までアルミ製だった増槽も日本からの技術提供で木製に切り替え、イングランド中部まで翼下に収めていたがレーダーと官民一体となった防空システムに手を焼かされていたのである。
爆撃により英国の航空機製造能力は2/3に低下していたが頑強に抵抗していた。
P.108の可動機は70機に満たなかったがエジプト侵攻と合わせる形て英本土へ出撃。
戦略爆撃部隊が北方に移動した頃、戦艦ダンテの砲撃でマルタ島の淡水化施設の一部を破壊。
英の地中海艦隊は英領ソマリランドが攻撃を受けていた為直ぐに対応出来ず、月末に到着した輸送船団の内貨物船コーンウォールが爆撃され損傷。
二度目の空襲でついに沈没した。
エジプト侵攻が始まるとマルタに増派する余裕はなく、イタリア本土からの爆撃に晒される事に。
34年に採用され、既に旧式化したZ.501も旧式故の特性を活かしリビア砲撃に向かったウォースパイト以下の地中海艦隊を迎撃。
低速な為戦闘機には脆かったが制空権を手にしており、木製の為レーダーに映り辛くレーダー手はソード・フィッシュと誤認。
ウォースパイトを小破させ、後退中の同艦隊に更にSM.79が襲いかかり重巡ケントに魚雷を命中させた。
侵攻終了後アレキサンドリアからの輸送も再開したが物資不足は変わらなかった。
チャドのアオゾウ地帯がフランスからイタリア領リビアに割譲された後、進出したSM.79による空襲は紅海にも及びインド航路を脅かし始めたのである。
H部隊からの増援が到着した後地中海艦隊はトブルクを攻撃したが、晩年のマルコーニが手掛けたレーダーがイタリア領土沿岸を覆い、リビアだけで60門に増加した90㍉高射砲とブレダ37、20㍉機銃、ドップラーレーダーによる各所からの通報でやって来たマッキ200に迎撃され失敗。
探知距離は100km程度ではあったがバトル・オブ・ブリテンで独空軍が経験している消耗戦を地中海では英軍が味わう事になったのである。
地中海艦隊が引き上げた後をZ.506が襲撃、イーグルに魚雷1本が命中した。
英国はイタリアを地中海に閉じ込め、ドイツに圧力をかけているとしていたがジブラルタルの基地機能の低下、エジプト方面の制空権喪失を受けて11月まで地中海ルートを放棄する事を決定。
航空優勢を確保したムッソリーニは戦艦5隻をタラントに待機させダンテ・アリギエーリを旗艦にマルタ島攻略を開始。
タラント空襲を計画していた地中海艦隊は驚愕した。
戦艦ラミリーズは機関不調、ウォースパイトとイーグルが爆雷撃で動けず、ロイヤル・サブリンは大西洋にあり主戦力はマレーヤと増派されたヴァリアント、バーラム、イラストリアスしかなかったのである。
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