菓子折りはグミかチョコでお願いします
「唐突なんですがそろそろ展開に行く準備をします」
「本当に唐突だな」
「私は行きたくないのでしません」
「ダメです」
「うわ~嫌だ嫌だ嫌だ!」
「この前は行くって約束したでしょ!」
何故か俺も行かないといけないんだよな。
いや、俺に関してはイリスの口車にまんまと乗せられただけなんだけど。
「俺はなんか準備することあるか?」
ついて行って遊ぶだけだから特にはなさそうだけど。
「なんか天界に持っていく菓子折りでも買っておいてくれない?日本のもの結構人気だから」
「わかった。具体的に何が人気とかあるのか?」
「そうね~チョコレート系とか人気かも。後、グミ」
「それって菓子折りって括りでいいのか?」
「かしこまったものより友達の家に持ってくお菓子ぐらいの方が喜ばれるわよ?」
「......なんか嫌な事聞いた気分」
髭がもじゃもじゃな神様も和菓子とか洋菓子なんかよりもグミを好むって事だろ?
神様って意外と子供っぽい人ばかりなのかもしれない。
「そういえばどのくらい天界に居る予定なんだ?泊まるなら着替え持って行った方がいいだろ?」
「そうね~大体三日ぐらいじゃないかしら?」
「え~そんなに居るの~!せめて長くても三分だよ!」
「ウルトラマンかお前は!」
一応、神様だからスペシウム光線ぐらいは出来そう。
「スペシウム光線なんて甘いわよ。せめてデスビームぐらいできなきゃ話にならないわ」
「みんな星1つ無くせるの!」
「当り前よ!......多分」
多分なのかよ。
「んじゃ、俺は忘れないうちに持ってくお菓子買ってくるわ」
「ハイチュウとキットカットは人気よ」
「柿の種とアルフォートも」
「......俺たちが行く場所ってアメリカじゃないよな?」
何故こうもアメリカ人受けするお菓子ばかりなんだ?
「......駄菓子とか結構ウケたりするのかな?」
真剣に駄菓子と向き合うなんて何年振りなんだろうか。
「あれ、勇凛先輩?何してるんですか?」
「お、アテナじゃん。お前こそなにしてんだよ」
「私は、今度天界に行くときのお土産を買いに来ました。勇凛先輩は?」
「奇遇だな。俺もイリスに頼まれて買いに来たんだよ」
珍しいこともあるもんだ。
......そういえば一応、こいつらもストーカーだったっけ。
「アテナは何買うつもりなんだ?」
「私はですね、クッキーとドーナツの駄菓子を買っていこうと思っています」
「なるほどね~あんまり被んない方がいいよな?」
「そうですね。私はグミとかは買わないので勇凛先輩はそっちの方向でいいんじゃないですか?」
「そうするよ」
分業は大事だよな。
グミと言っても一概に何がいいとかあるのだろうか?種類いっぱいあるし。
硬い奴から柔らかい奴。フルーツ系から炭酸系の味まで幅広く存在している。
俺個人として硬い系のグミの方が好きだな。お口の寂しさを紛らわせてくれるから。
「天界で人気なグミとかあるのか?」
「そうですね~フルーツ系の味の方が好まれている印象がありますね」
「正直、何を持っていけばいいのか分からないから一緒に選んでくれないか?」
「いいですよ~」
こうして、アテナと一緒に買い物をすることになった。
「アテナは小さい頃、親がすごい厳しかったんだろ?」
「今も厳しいですけどね」
「......はは」
笑顔で返されるとなんだか複雑な気分になるな。
「小さい時ってお菓子とか食べれたのか?」
「全く食べなかったわけではないですね。基本的には母からではなく父がコッソリくれたりおじいちゃんと遊んでる時に貰ったりしてました」
「そういうのってどの世界でも共通なんだな」
俺は全然母さんが食べさせてくれたけどな。
逆に父さんがいっぱい食べさせる母さんの手を止めさせてたっけ。
......父さん元気にしてるかな?なんで夜逃げしたのかよく分かってないし。
「父は母程厳しくなかったので。でも、あまり会えてないですね」
お互い、父親には思うことがありそうだ。
「そういえば、こっちの生活には慣れてきたか?」
「勇凛先輩たちのおかげでだいぶ慣れてきました!まだ、わからない事の方が多いですが......」
「そんなもんだよ。天界の事全然知らないからさなんとなくでいいから教えてくれないか?」
イリスやアルテミスに聞いても全然答えてくれないというかちゃんと教えてくれないからな。
「天界という場所を簡単に言い現わすなら人々が考えた楽園という感じですかね」
「人々が考えた楽園?」
「そうです。人々が考えた楽園です」
「......それで?」
「?」
「他には?」
「以上ですけど?」
「いや!もっとあるよね!絶対にまだ話すことあるよね!」
「と言われましても......」
なんでどいつもコイツもちゃんと教えてくれないんだよ。
「天界の住人は基本的には神様とその家族。そして、生前悪行を行わなかった者たちの魂が住む場所よ」
「綾華さん!」
やっとちゃんと教えてくれそうな人が来た!
「ってなんで綾華さんもここに居るんですか?」
「私も買い物に来ただけよ」
「......偶々?」
「た、偶々よ!」
そうならいいな。
「で、話を戻すけど。魂が住むところには娯楽しかなく苦しい思いや辛い思いをすることは一切ないわ。好きな時に好きなものが食べられしたいことができる。まさしく、人類の楽園というところよ」
「死んだあとも味覚があるんですね」
「まあそこら辺説明してると勇凛君が大人になって大家族を育んで孫が生まれるぐらいの時間が掛かるから説明しないでおくわ」
「なんか嫌な時間表現ですね」
メールが来たが今は無視。どうせイリスだし。
「イリスさんが一生かかって説明されてて草ってメールが来ました!」
「アイツ許さん!」
ほーらしょうもないことだっただろ?
「とにかく。楽しいだけの場所って事。勇凛君は一足先に天界の娯楽を体験できるって事ね」
「なんだか人をダメにしそうですね」
「大丈夫よ。そんな楽しいものでもないと思うから」
「それ今言います!」
せっかくの楽しみが台無しになってしまった。
本当に楽しくないのかな?だって人類の楽園だぜ?あ、パチンコじゃないからね?
「なんか、リアルRPGが出来るって聞いたんですけど」
「あーアレね。アテナはやった事あるかしら?」
「はい!やった事あります!結構楽しかった記憶があります!」
「綾華さんは?」
「1回だけイリスさんに連れられて。あの人とやる時は注意した方がいいわよ。色々と」
「......気を付けておきます」
......何されたんだろう綺華さん。
「話してる間に何買うか決めたかしら?」
「そうですね。無難な味のグミでも買って帰りますかね」
目の前にあるオーソドックスなグミをかごに入れる。
というか、俺たちどんなところで会話してるんだよ。
「それじゃあ会計してきますね」
「わ、私も行きます!」
「二人ともこの後暇かしら?」
「私は暇です」
「俺も」
「それじゃあアイスでも食べてかない?今日は特別に奢ってあげるわよ?」
「行きます!」
「ゴチになります!」
さっさと会計を済ませてアイスを食べよう。
別に帰りが遅くなっても大丈夫だろ。どうせ帰ったってやることないし。
「......ん?メールだ」
どれどれ......
「帰りにアイス買ってきてね♡」
「......流石ねイリスさん」
「......だな」
仲間外れは許されないらしい。
神様たちのストーカーライフ 漣電波 @yukiha_yuzuriha
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