第30話 お姐さんといっしょ スキルの検証


ニコニコ笑顔をワタシに向けているジェニー姐さん


とてもご機嫌がよろしいご様子


「ジェニー姐さん、もしかしなくても、気分が良くなりました?」


「ええ、そうなの!」

「あなたにもらったお薬が効いたのかしら?」

「いえ、それ以外に考えられないわよね!」

「うふふっ、今なら私、あなたみたいに変なポーズもできちゃうかしら?」

「たしか、こんな感じ?」

「あらやだ、私ったら。ハシタナイ」



濃紺のジャージ姿でガッツポーズを始めたと思ったら、


すぐに何事もなかったことのように「オホホ」と、体裁を整えるジェニー姐さん



「それはそれは、よろしゅうございました・・・」


(ちょっと調子に乗っちゃった感じの人って、はたから見るとこんな感じなんだ・・・)



はしゃぐジェニー姐さんとは逆に、ちょっと引き気味になるワタシ


(さっきまでのワタシもこんな感じだったのかな・・・)



【人の振り見て我が振り直せ】


一瞬、そんな言葉が頭をよぎったワタシです




ノリノリな姐さんの様子を見て、逆に、ハイだったワタシの心は落ち着き、


そろそろ次の行動に移ろうかなと思いはじめた頃、


ジェニー姐さんが今まで着ていた衣類等をそそくさと片づけ始めました


ベージュの大きなショルダーバッグを持ち出して、そこに無造作にヒョイヒョイと


(・・・姐さん、せめて畳もうよ・・・)

(ワタシは、お洋服は大切にしよっ!)



【人の振り見て我が振り直せ】


再度、そんな言葉が頭をよぎったワタシです



(それにしても、あんなにヒョイヒョイ詰め込んで、大丈夫なのかな? あのカバン)


大きめなカバンですが、畳みもしていない衣類は結構かさばるはずです


それなのに、一向に膨らみもしないカバンに、ちょっと違和感を感じてしまいます


(あのカバンってば、もしかして・・・)


考えてもしょうがないので、疑問に思ったことは所有者に聞いてみるワタシです



「姐さん、ジェニー姐さん!」


「ん? なぁに?」


「そのカバン、もしかして、アレだったりします?」


「うふっ、分かっちゃった?」


「ハイです。だって、明らかに入れてる量とカバンの見た目、釣り合ってないですもん」


「そういうこと。お察しのとおりね、これは、マジックバッグなのよ」


「やっぱり!」


ついに登場、ファンタジーアイテムの定番


見た目よりもたくさん入るカバンさんの登場です


(やっぱり、異世界物の不思議アイテムといえばコレ! 定番中の定番ですよね?)


あれ?

異世界物?

定番?



頭に浮かんだいつもの思考は完全スルーです



そして再度マジックバッグに目を向けた時、ビビット閃きがきました


(およ? ちょっといいこと思いついたかも!)

(ワタシのスキルの検証も兼ねて、ちょっと試してみようかな?)



思い立ったが吉日、早速行動開始です


「姐さん、ちょっとワタシの実験にお付き合いプリーズ!」


「ん? ぷりぃず?」


「あっ、すいません。ちょっと取り乱しました・・・」

「少しの間、ワタシの実験にご協力、お願いしゃっス!」


「ふふっ、いいわよ? それで、何をすればいいの?」


そんな感じで、ワタシの思い付きの確認実験開始なのでした




「姐さん、何でもいいんで、硬貨を貸してもらえませんか?」


「お金? いいわよ?」

「それじゃ、ハイ。小銀貨ね」


マジックバッグから小銀貨を取り出してワタシに手渡すジェニー姐さん


「ありがとうです」

「それでですね、今から意味不明なことをお願いしますけど、」

「とりあえず今は理由を聞かずに、お願いしまっス!」


「え? まぁいいけど・・・」


ちょっと不審ぎみな姐さんを横目に、勢いのまま話をすすめるワタシ


「この小銀貨で、姐さんのマジックバッグ、1秒だけでいいんで、売ってください!」


「え? 売るの? 1秒だけ?」


「すぐに返しますんで」

「形だけ、売った、ということにして欲しんです。お願いしまっス!」


「まぁ、すぐ返してくれるんなら構わないけど・・・」


そうして、小銀貨とマジックバッグを交換し、そしてすぐにマジックバッグを姐さんに返すワタシ


「・・・これって、なにか意味があるの?」


「ちょっと待ってくださいね~」


不審げなジェニー姐さんを放置し、


そしてすかさず【買い物履歴】画面を確認するワタシなのでした




「うぅ~ん、ない、か~」


検索機能を使ってみたり、


【買い物履歴】画面の分類[小物]や、[道具]、最後は[その他]も覗いてみましたが、


探している商品、【マジックバッグ】という名の商品は見つけられませんでした



(うぅ~ん・・・)

(ない、か~)

(【買い物履歴】っていうくらいだから、買い物したら登録されると思ったんだけど・・・)

(いけると思ったんだけんどな~)

(やっぱり日本で買ったモノしかダメなのかな~)

(商品のお値段は日本円表示だから・・・)

(ん?)

(もしかしたら、アレかな?)

(日本円で買ってないとダメ、とか?)

(でも、日本のお金なんて手元にないしな~)

(うぅ~ん、実験は、失敗かな~)



そんな感じで諦めかけていた時、【買い物履歴】画面


その中央[あなたにお勧め]に商品が表示されたのでした




【国際科学技術万博記念白銅貨 500円】




(ん? このタイミングでお勧め?)

(それも、記念硬貨?)

(・・・ドユコト?)


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