第29話 お姐さんといっしょ 魔法再び


先程はあえてスルーしましたが、ジェニー姐さんはどうやら魔法が使えるご様子


ワタシの渡した女の子用品やお薬を、魔法を使って詳しく調べて、そして、


それらがどういうモノなのか理解した上で喜んでいたご様子なのです



(モノの詳細を知ることができる魔法?)

(それって、なんか特別って感じがするよね)

(そんな特別? な魔法を使える存在・・・)

(それに、お着替え中に髪の間から覗いたアレは・・・)


悩んでもしょうがないので、素直にご本人さんに聞いてみることにします



「ところでジェニー姐さんのお耳、ちょっと特徴的ですよね?」


「え? えぇ、いわゆるエルフ耳ってヤツよ?」


「やっぱり。それじゃ、ジェニー姐さんはエルフなんです?」


「正確には、クォーターって言うの? 母方のおばあ様がエルフなのよね」


「なるほどなるほど」


「耳さえ隠していれば、エルフ要素ないでしょ?」

「私の髪の色、こんなんだし?」

「遠目からはエルフには見えないでしょうね」



(ワタシのエルフのイメージといえば・・・)

(スレンダーで緑系の色を身にまとったパツキン美人)

(ひるがえって、ジェニー姐さんってば・・・)

(ナイスバディで燃えるような赤髪)

(確かに、一見ではエルフと認識できないかもですね)



ボンキュッボンなメリハリのあるボディをしておいでのジェニー姐さん


異彩を放つ燃えるような赤髪も相まって、


見た目詐欺的なエルフさん(クォーター)という、


割とレアキャラ的存在なのかもしれません



(っていうか、それよりも、赤髪で薬師って・・・)

(逃亡して、隣国の王子様と仲良くなっちゃいそう?)


またもや知らないはずの余計な知識が頭に浮かんでくるワタシなのでした




エルフチックな魔法が使える稀有な存在が目の前にいます


しかも、いい感じにフレンドリーです


こんなチャンスは、今後滅多にないことでしょう


ということで、先程(ザックさん)のリベンジとばかりに、


ワタシ的にはもっとも重要なことを、聞いてみたいと思います



「あのっ、もしかして、ジェニー姐さんは、清潔(クリーン)の魔法、できたりします?」



先程ザックさんにお願いした、洗浄(ウォッシュ)魔法が物足りないモノだったので、


似たような魔法と思しき清潔(クリーン)の魔法が使えるか、


ジェニー姐さんに確認してみます



「ん? ええ、精霊魔法は一通り使えるわよ? 試してみる?」


ジェニー姐さんはそう言うと右手を私に向けて呟きました


「清潔(クリーン)発動」


シュワッ


一瞬、そんな音と共にワタシの体を何かが覆う


膜のような、ベールのような


1秒にも満たない間の出来事でした



(おお? 一瞬シュッとした、と思ったら、・・・あれ? もう終わり?)

(何か期待してていたのとちょっと違う、失望、とまではいわないけど・・・)


一瞬の清涼感はあったものの、すぐに元に戻ってしまった感じ


(・・・何だろう、この、洗浄(ウォッシュ)の時のようなデジャヴ感・・・)

(・・・もっと、スッキリサッパリすると期待していたんだけど・・・)


確かに何か綺麗にしてくれたのだろうとは思う


しかし、やっぱり物足りない


例えるなら、洗うのではなく、アルコール消毒だけをしているような感じ


一瞬サッパリするけれど、その後べたつきを覚えるような、そんな感じ


(こっちも残念だったよ・・・)


洗浄(ウォッシュ)に引き続き、清潔(クリーン)にも期待外れ感が半端ないワタシ


正に欲求不満状態です



(もっとスッキリさっぱりした~い!)

(・・・もう、こうなったらアレだね)

(自分でお風呂を用意するしかないね!)



カワイイお洋服に着替えられて、満足したのも束の間、


ワタシに次なる目標(野望)ができたのでした

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