第19話 まだ情報収集


「ことろでザックさんは、ここでどんなお仕事を?」


「ん? オレか? オレの仕事はここの見張りと魔物退治だな」


「魔物?」


「ああ。この辺じゃ、主にモスキー退治だな」


「モスキーって何です?」


「ん? モスキーを知らんのか?」


「ハイです」


「ははっ、本当に嬢ちゃんは何も知らねぇんだな」


「ですです」


「モスキーってのは、そうさなぁ、人の頭くらいの大きさで、人や動物の血を吸いやがる虫さぁ」


「・・・それって、物凄くデッカイ蚊では・・・」


「ん? カ?」


「いえいえ、こちらのことです」


(ここまでの道中、何回か出くわした蚊柱の蚊とは大きさが違うけど・・・)


「そのモスキーって、親指ぐらいの大きさで、百匹とかで群れてるヤツとは違うんです?」


「あぁ、それは子モスキーの群れだ」


「コモスキー?」


「子供のモスキーで子モスキーだ」


「なるほど・・・」

「それじゃ、ザックさんは子モスキーを倒しているんです?」


「いや、子モスキーには手を出しちゃぁいねぇな」


「それはなぜです?」


「子モスキーは小っちゃくてすばしっこいだろ? 倒しにくいんだ」


「効率が悪いと?」


「そういうことだ」

「魔法で一掃しようにも、あいつら魔力感知に長けててなぁ、すぐに逃げちまうんだわ」


「へぇ~。それは何ともアレですね~」


「まあ、子モスキーは群れてるだけで実害がないからな、子モスキーは人を襲わない」

「大人のモスキーになると、人を襲いはじめるんだ」


「なるほど・・・」


(小っちゃくて倒しにくい、かつ無害な子モスキーはとりあえず放置しているのか・・・)

(ワタシ的には殺虫スプレーで簡単に倒しちゃったけど・・・)


「ザックさん、ひとつ確認していもよいです?」


「ん? なんだ?」


「子モスキーでも、別に倒してしまっても構わんのでしょ?」


「ん? なんか変な言い回しだなぁ。まぁ、もちろんだ。」

「ほっとけば大人になるのは分かり切っているんだ、倒すに越したことはねぇな」


「遠慮はいらない、ということですね!」


「ん? あぁ。遠慮はいらねぇな」


「・・・そうか。ならば、期待に応えるとしよう!」


「・・・急にどうした嬢ちゃん」



いきなり変なスイッチが入ってしまったワタシ

まるで何か(英霊)が乗り移ったかのように・・・


ここでは、

このタイミングでは、

このセリフを言わなければならない

そんなオヤクソク的な何か、

義務感的な何かを感じとったワタシは、

無意識に知らないはずのセリフを口走っていたのでした


(あ~それ言っちゃうんだ、アー〇ャー・・・)

(あちゃ~・・・)


(待って? これって、死亡フラグじゃなかったっけ?)


あれ?

死亡フラグって?

んん?

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