第6話 偶然


「もしかしなくても、これって何か踏みつぶしちゃった感じ?」


状況的に何かを踏みつぶしたことは間違いないだろう

そして、こんな見た目で異世界の有名どころといえば・・・

ゴブリンに並ぶ異世界の魔物の代名詞といえば・・・


「これって、スライム的なヤツ?」


あれ?

異世界?

何それ?

ゴブリン?

スライムって?

またわかんないことが・・・


「でもまぁ、気にしてもしょうがないか」


意識を切り替えて足元を見る


「それにしても、踏みつけられて、ナレ死どころか登場以前に知らぬ間に死んでるスライムとか・・・」

「・・・お主も運がないのぉ」


自分で殺しておいて、スライムに同情するワタシ



とりあえずスライムの粘着物から右足を抜き出そうとしたところ、何だか足の裏に違和感というか不快感

まるで、靴の溝に小石が挟み込まれてしまい、天然のスパイクと化してしまったような感覚

まあ、スパイクといっても何の機能も果たさない、不快感以外何ももたらさない代物だが


早めに取らないと、更に靴の溝に深くめり込んでしまう

そう思いつつ足の裏を確認すると、道端のガムよろしく靴底にベッタリとへばりつくスライム由来のジェル状の何かとは別に、光り輝く小石状のモノに気がついた


「綺麗な小石? ガラスとか水晶の欠片?」


ちょっとバッチイけど手に取ってみる

すると触った瞬間


『討伐した魔物の魔石からMPを自動チャージしますか? 含有魔力量【100】』

目の前に確認画面が現れる


「討伐した魔物の魔石って、これってもしかしてスライムの魔石的なモノ?」


そしてその刹那、湧き上がるやるせなさ

この小さくて綺麗な小石改め魔石を眺め、ふと口を衝く一言


「このスライムの魔石、ワタシのMPと同じ?」

「っむっき~、こんちくしょ~!」


何だかメチャクチャ負けた気がしたワタシ

ソッコーでチャージして、跡形もなく消し去ってしまったのは、言うまでもない


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る