うさ恋
天石蓮
ミッション1 うさ恋の世界へログイン
「は~る~なぁああ!助けて、大好きだったアプリゲームが!サービス終了しちゃったぁああ」
出会って開口一番にそう言われ、抱きつかれる春奈。
そして、みっともなく泣きわめき、春奈に抱きつくのが梨沙である。
「何事かと思えば…今やアプリゲーム戦国時代だよ。それと、近所迷惑になるから玄関で泣くの止めよう。あと、そんなに抱きつくと手土産で持ってきたスナック菓子類が粉々になるから…」
春奈がそう言うと、梨沙は泣くのを止めてリビングへと案内する。
「それで?私に聞きたい事があるって言ってたけど…」
春奈は梨沙が用意してくれたオレンジジュースを1口飲んでから聞く。
「ズバリ…春奈のオススメアプリゲームを知りたい」
しばし沈黙が訪れる。
「…え?それって、会ってまで聞くこと?メッセージアプリでやり取りすればいいレベルじゃない?」
「そ、そうかもしれないけれど~!それ以外にも、聞いてもらいたい話が積もりに積もってるの!主にサービス終了しちゃったアプリゲームの話とペペロンチーノの話!!あとね、あとね~…」
ちなみに梨沙の言うペペロンチーノは、食べ物ではなく、飼い犬(ゴールデンレトリバー)の名前である。
「はいはい…わかりました。で?どんなゲームが良いの?」
「春奈がやってるゲーム!やっぱりゲームって一緒にやる人がいるともっと楽しくなるし。後は…容量があんまり多くないのでお願いします!」
春奈はスマホを取り出して、うーんと唸る。
「私がやってるゲームで、容量があんまり多く無いの…それで、梨沙が好きそうなゲームかぁ」
梨沙がソワソワしながら待つと、春奈が「アレなら…」と呟き、あるアプリのアイコンをタップする。
「なになに!?どんなゲーム?」
梨沙がそう聞くと、春奈がスマホの画面を見せる。
「うさ恋。ズバリ、うさぎの恋愛育成ゲーム」
梨沙の頭の中は『?』で埋まりつつあった。
春奈レクチャーの下、梨沙はアプリをダウンロードし、ゲームにログイン。
そして、画面上に現れたのは3羽のうさぎだ。
生成色、茶色、パンダみたいなぶち柄。
「この3羽の中から1羽選べばいいの?」
梨沙がそう聞けば春奈は頷く。
「う~ん…じゃあ、この生成色のうさぎ!」
生成色のうさぎをタップすると、『うさぎの名前を入力してください』と表示が出る。
「ほ~…名前か。じゃあ、君の名前は…ボロネーゼ!!」
春奈がガクッと滑る。
「ねぇ…梨沙。なんでいつもさ…名前つけると食べ物になるわけ?それも何て言うか…ペペロンチーノとか、ボロネーゼとか…食べ物にしても、もっと可愛い名前あるでしょ?」
しかし、梨沙はきょとんと春奈を見ていた。
「ボロネーゼも可愛いと思うけど」
春奈は「あー…ごめんごめん。ボロネーゼも素敵」と言う。そう、春奈は思い出した。梨沙が昔、飼っていた金魚の名前が『ハバネロ』だった事を…
梨沙が名前を入力し終わると、次の画面が表示される。
『うさ恋の世界へようこそ!』
『ミッション!3羽以上のうさぎちゃんの好感度を20以上にしてパートナーになろう!!』
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