第4話
[屋上へのドアはここか。いままでは施錠していなかったらしい。夜の間も、だとか。ああここに足跡がある。こっちへ行ったのか。ずっと屋上にいたのか。よく気づかれなかったものだ。……居た。意外に早く見つかった。運が良かったな。探そうと思えば見つかるものか。]
開いている窓のそばで、外を眺めていた。風で頭が冷やされる。意外と、校舎のそばまで枝が伸びている。あの木なんか、触れそうだ。少し冷静になったのか、考えを巡らせる余裕ができた。
そういえば、昨日は雨だった。寒かっただろうな…。あ、そろそろ授業が始まる。教室に戻らないと。
教室はまだ、全体的に騒がしい。授業にも身が入らない様子だった。いつの間にか一日が終わり、部活のはずだったけれど今日は無しになり、下校だ。
「静永」と思原。
「何?」今度は、何の用だろう。
「今日、一緒に帰ってもいいか。また聞きたいことがある」
僕も、時間が経って反省していたため、「いいよ」と返事をした。
「お前の家、どっちだ?」
「あっち」言いながら指を差す。
「俺と同じ方向か。ならいい。帰ろうか」
思原は、先に立って歩き始める。思原も徒歩通なんだな。
「ねえ」僕は聞いた。
「なんで一緒に帰ろうとするの」
「言っただろう。聞きたいことがあると。お前こそ、なんで一緒に帰っていいと言ったんだ。あんなことになったのに。それに、友達とかは」
「穩陽は、バスなんだ。いつもは、光と帰ってるけど…」
「不躾なことを聞いてすまなかった」
「いや、僕も謝ろうと思ったんだ。ごめん。あんな風に怒ってしまって」
思原は「いや」と言い、
「こちらこそすまなかった。無神経なことを言った。あんな時に、言うべきではなかった」と続けた。
「うん。じゃあ、調べるのをやめる?」
「すまない。それはできない。あいつ…猫間光とやらのためにも、やめるわけには、行かない」光の為、か…。
「いじめについて、教えてくれないか」
「無神経さを謝ったわりに、またそんなことを言うんだ」
「すまない。でも、教えてくれ」そう言った思原は必死そうな顔をしていた。
「いいよ。教えてあげる」
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