現実の恋愛は漫画のようにはいかないようです?
流星 るな
第一話 神様運命って信じてもいいですか!?
今日は入学式だ。
入学式と言っても僕の入学式ではなく一つ下の学年の入学式だ。
なんでわざわざ在校生として出席しなきゃいけないんだよと思いながら入学式を見ていると、ふと、一年前の自分のことを思い出した。
「高校デビューしてやるゾー」
と気合満タンで高校に入学したものの、中学までインキャだった俺がそう簡単に高校デビューできるはずもなく。漫研に入ったこと以外は特に、何もすることなくに気づいたら何もしないまま一年が過ぎてしまっていた……
高校デビューに失敗した思い出したくもない過去を思い出してしまい。
ふと、大きなため息をついてしまった。
「はぁ〜」
その時
「新入生代表の言葉佐々木すすきさん」
先生の声とともに
「はいっ」
とおおきな声を出して壇上にあがった彼女を見た瞬間さっきまで大きなため息していた僕は人生で二度目の恋に落ちた。
「春の息吹を感じられる今日……」
から始まる挨拶はよく聞くもので普段は最後まで集中して聞くことなんてない挨拶だが。
今回ばかりは違った。
クソつまらない文章でも、黒髪ロングの清楚系で優しいながらも緊張した声で彼女が話していているだけで
僕が集中して聞くには十分過ぎた……
僕が彼女に見惚れているうちに一瞬で彼女の話は終わってしまい彼女はもといた席に戻っていった。
その後は、いつもどうり入学式は進んでいきあっという間に入学式は幕を閉じた。
彼女のことを考えているうちに気づいたら授業もあっという間に終わり気づいたら放課後になってしまっていた。
慌てて準備をして、僕はいつもどうりワンチャン入部希望ですすきさんいないかなぁーと浮かれながら漫研の部室の教室へと向かった。
「お疲れ様ぁ〜」
部室の教室のドアを開けると。一つ上の三年生で部長のもみじさんが声をかけてきた。
もみじさんは紅葉したもみじのような赤い髪の毛でショートヘアの先輩だ。俗に言うおねえさん系で楽観的な性格だが僕に何かあると助けてくれる優しくて頼れる先輩だ。
「お疲れ様です……はぁ――さすがにそんなことないか……」
ふと、ため息と声が漏れてしまった。
「おぃおぃ〜私をみてため息とは失礼だぞぉ〜何かあったのかぁ?」
「ご、ごめんなさい……特に何にもないですよ……」
「それならいいけどさ無理はするなよー」
「無理は絶対しないですよ〜 今日は部室来るの早いですね?」
「でしょ〜 いつもよりホームルームが早く終わってね。早めに部室に来たのよ。それより新入部員どうやって勧誘しよーか? うちの部活部員三人しかいないし後一人勧誘しないと廃部になっちゃうんだよね〜入学式の今日が勝負だしどうやって勧誘するか一緒に考えてね〜?」
「ちょっと待ってくださいよ……廃部になるとか初めて聞いたんですけど……普通こう言う大切な話って前もってするものじゃないんですか――?」
「ごめん ごめん 私もすっかりわすれててさ――まぁ何とかなるでしょ! みさきくんなにかいい案ない〜?」
「突然いい案とかいわれもそんなすぐに思いつかないですよ〜」
「まぁそうだよね〜」
「とりあいず、さくらさんきてから考えることにしません?」
「そうしよっかじゃあ、それまで休憩ね〜」
本当にもみじさんは楽観的だな―― と考えていると
ドアを開ける音と一緒に
「お疲れ様です〜」
さくらさんが教室に入ってきた。
さくらさんは同じクラスの明るく元気な子で髪はピンクでボブのクラスの人気者だ。しかし、その裏側はBL好きの極度のオタクなのである。しかしそのことはクラスの人は誰も知らない漫研の三人だけの秘密なのだ。
「さっちゃん突然になって悪いんだけどさ――新入生勧誘しないと実はこの部廃部になっちゃうんだよね……」
「は……廃部……廃部なんて初めて聞いたし、この部無くなったら私どこでオタクすればいいんですかぁ……なくなるのは絶対嫌だし困りますよ――」
「でしょ〜それでさどうやって新入部員を勧誘するかいい案ないってさっきまでみさきくんとはなしてところなの!さっちゃんもさなにか、いい案ない?」
「なにかいい案って言われも突然すぎて何も思いつかないですよ……二人で話してる時にはなにか案でなかったんですか〜?」
「それがさ……なかなか出なくてね――運動部とかと違って漫研ってそれといった特徴も人気もないからさ……」
「ですよね〜本当にどうしましょう。」
『はぁ〜』
と三人揃ってため息をはいていると。
『コンッ』 『コンッ』 とノックしてドアを開く音が聞こえた。
『ガチャッ』
「……こんにちは、漫研の部室ってここであってますか?……」
少し緊張した声で誰かが訪ねてきた。
「ここであってるよ〜!もしかして君入部希望者!?」
ともみじ先輩が聞き返すと、
「はい!私入部希望の1年2組の佐々木すすきです!よろしくお願いします!」
この名前を聞いてドアの方を見た瞬間一瞬固まって僕は思った。
「神様運命って信じてもいいですか!?」
……この時僕はまだ知らなかった佐々木すすきによって僕の学校生活は大きく変えられることを……
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