Be dyed green.
碧月 葉
予言.木々は唄い 花は笑む
『世界が鈍色に覆われし時、緑の手をもつ者が現れ大地を癒す。さすれば再び木々は唄い花は笑む。人は黄金色の恵みを頂くであろう』
*********
「台風、洪水、干ばつ…… 何処もかしこも荒廃は止まらぬ。世界はこのまま滅亡するのか……。本当に緑の手……『セイバー』など存在するのだろうか」
老王は、諦め切った表情で手元の予言書に目を落とした。
「陛下が弱気でどうするのです。4大神殿からは『オーブの乙女』の準備が整ったとの報告が入っております。『セイバー』も、きっと見つかる事でしょう」
王の親友でもある宰相は、落ち着いた声で書類を捲った。
「しかし、4国全ての貴族で試したにも関わらず、誰一人として聖鍬は反応しなかったではないか」
「500年前はそうだったかも知れませんが、『セイバー』が貴族とは限りませんよ」
「お前は楽観的でいいのぅ。ではこれから試すのか? 全ての民で。……それには途方もない時間がかかる。そうこうしている間に作物は枯れ果て、国は滅びてしまうぞ……」
「悲観的である事は陛下の美点です。為政者が楽観的な予測で思考停止していては国が滅びますからね。……『セイバー』探しはやるしかないでしょう。大掛かりにはなりますが、各国で連携し転移魔法を駆使すればなんとかなります。あとは選定が長引いた場合に備え、備蓄食糧の確認、配給体制の整備など今からやっておきましょう。まぁ大変な状況ですが、知恵を出し合えばきっと乗り越えられますよ」
おっとりと微笑む宰相を横目に、王は考えたくもない厳しい状況を想像し重い息を吐き出した。
しかし、直後には有事の一つ一つの対抗策を練り、羊皮紙に記しはじめた。
***
リディス大陸に 500年ぶりに魔王が蘇った。
魔王は配下の魔人達を用い、様々な災厄を引き起こし世界に荒廃をもたらす。
伝説によると、古来より幾度か魔王の出現はあったが、その度に『オーブの乙女』と『セイバー』がそれを封じてきたのだという。
『セイバー』を選ぶのは聖なる鍬。
程なく、大陸にある4つの王国で御触れが出され、全大陸民を対象に聖鍬による試しの儀式が行われることとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます