第12話 彼女の手料理①
新緑が美しいと感じられる5月に入った。
今月末は中間テストがあるので、針生に
俺は自転車でスーパーに向かうと、約束の時間前に着いたので入口付近で待った。
自分で決めておいてなんだが、スーパーで待ち合わせって無いよな。
でも何を作るのか教えてもらってないし、食材を買って来てもらうのも違う気がするし、家に直接来てもらっても結局その後食材を買いに行かないといけないので二度手間になるからこれで良かったと思うしかない…
とか考えていたら針生が目の前にいた。
「おはよ、待った?」
「イヤ、待ってないよ。
今日はよろしく。」
この遣り取り、彼氏彼女っぽくて嬉しい、いつかはそういう関係になれればいいな。
今日の彼女は髪をルーズサイドテールにし、服装は白いトレーナーに青いジーンズ、スニーカーだ。
彼女の髪型ひとつで俺はドキドキさせられる。
前回の服装からすると今日は普段着に近いのかもしれない。
自転車だし、料理をするんだから動きやすい服装が当たり前だが、彼女なら何を着ていても似合うとしか言いようが無い。
「…どうしたの?私の顔に何か付いてる?」
「…イヤ…針生はどんな髪型や服装をしていても可愛いんだなと思って…」
「きっ、急にそんなお世辞言われても、何も出ませんよー。」
「針生、敬語になってる。
それと別にお世辞じゃ無いんだが…。」
彼女は俯きながら俺の頭を両手でワシャワシャした後、素早くカートとカゴを用意して先に中へ入って行ってしまったが、後ろから見える耳の先端は赤く染まっていた。
彼女は手慣れた感じで次から次へと食材をカゴに入れて行く。
ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、キャベツ、ウインナー、ハム、豚肉、塩分無添加の野菜ジュース、顆粒のコンソメ、卵、バター、ケチャップ、2種類のカレールー等。
「他に塩、胡椒、サラダ油、オリーブオイル、お米、ラップとかも必要なんだけど、家にある?」
「あー、そのくらいなら家にあるよ。」
カレーの材料以外、洋食の様だが何を作るんだろうか。
「食材以外にも、何か食べたいお菓子とかあったらカゴに入れてくれ。」
「はーい。」
返事はあったが、針生は特に欲しい物は無い様だ。
普段、
会計を済ませ、家から持って来た大きい手提げバッグに食材等を入れていく。
結構買ったな…俺1人じゃ絶対に買わない量だな多分。
自転車の前カゴにバッグを乗せていると、針生が自転車を押してこちらに向かって来る。
「カゴに入った?少し持とうか?」
「大丈夫、なんとか入ったから。
じゃあゆっくり行くから付いて来て。」
俺は食材のせいで重くなったハンドルをしっかりと握り締め、彼女が付いて来れる様にゆっくりと安全運転で自転車を自宅へと走らせた。
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