幸せ行進曲
あのね!
第1話⁂学園生活⁂
人生は何が起こるか分からないものだ。
◆例えば歴史上の人物
「天下人織田信長は幼少の頃からとんでもない変わり者で、奇天烈な行動が多かったので『尾張の大うつけ』と呼ばれていたらしい」
「ふう~ん……ところでうつけって何?」
「要は空っぽ、まぬけということらしい」
「今のように裸で風呂に入る事は無かった時代……昔は浴衣を着たまま風呂に入っていた。お付きの者が着替えさせようとするが、浴衣を着たまま、まげは結わずに派手なひもで髪を結び、腰には縄を巻いて複数のひょうたんや、わらじをぶら下げて街中を歩いていたらしい……またこんなことも……寺で学問を真面目に聞かず、食事の時には他人のものを奪い、街中では柿や瓜をかじりながら歩いていたといわれ、殿様の世継ぎとも有ろう者が、身分にこだわらず町の若者たちと戯れていたようだ」
「危ない!危ない!いつ命を狙われるかも知れない?とんだうつけだなぁ~!」
「また感情の起伏が激しく狂暴だった信長は、女を平気で殺したり、租税滞納の農民を焼き殺したりした」
「今の時代なら大殺人鬼だね?」
「まぁ戦国時代は、人を殺して出世する時代だから……」
*織田信長『ADHD(注意欠陥・多動性障害)』
「それから発明王ト-マスエジソンも、幼少期にはとんでもない問題の数々を仕出かしていた『1コの粘土と1コの粘土を合わせたら、大きな1コの粘土なのに、なぜ2コなの?』このエピソードはとても有名な話だ」
「クッフ~ワッハッハ~!ワッハッハ~!」
「その他にも、なぜ燃えるのかを知りたくて、わらに火をつけて、納屋を全焼させてしまったり、ガチョウの卵をどうしてもふ化させたくて、何時間も鳥小屋の中で卵を抱えていたりしていた」
「全く天才のやる事は常軌を逸している」
*ト-マス・エジソン「広汎性発達障がい(PDD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、学習障がい(LD)」
「アインシュタインは、5歳ごろまで他人と会話することが出来なかった」
*アインシュタイン「広汎性発達障がい(PDD)」
「モ-ツワルトは、幼年の頃からチック症の症状が見られ、女性のスカ-トの中で遊ぶことが好きな変体的な子供だった」
「らしいね?人をののしったり、エッチな言葉を数多くしゃべっていたらしい」
「また浪費家、ギャンブル好きでどんな時も衝動を抑える事ができず、晩年は借金に苦しんだ」
*モ-ツワルト「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」
2人の男の子が、放課後に学校の図書館で偉人伝を読みながら、何やら楽しそうに話し合っている。
この話は同上に記した偉人達同様に、問題行動の多かった少女カレンの、摩訶不思議なヒストリーである。
極一部の偉人たちを紹介して来たが、幼少期から青年期に掛けて手に負えない問題児だったが、世界的な功績を収めている天才は枚挙にいとまがない。
何も幼少期に神童だと持て囃された子供達ばかりが、大輪の花を咲かせ大出世するとは限らない。
◆▽◆
現在32歳の私こと、結城カレンは何とも幸運な事に、日本でも有数の華麗なる一族に嫁いだ幸運の持ち主、大物政治家で外務大臣を歴任する結城賢伍65歳の長男結城春馬34歳の妻なのよ。
実家の父親62歳は由緒正しいお寺安徳寺の住職で、母親は住職の妻として夫を盛り立てているわ。
そして…30歳の妹ユリヤが跡を継ぎ、婿養子を迎えて敷地内の別宅に住んでいるの。
これだけ聞くと、何とも羨ましい限りで絵に描いたような家族であるが、実は過去には思いも寄らない災難が降りかかっていた。
実は…私は幼少期に同い年の子供達からかなりの後れを取っていたの。心配した母親によって児童発達支援センター(精神障害児・知的障害児・身体障害児)に通わされていたわ。
◆大まかな理由(0歳~6歳まで)
*3歳になっても話せない
*2歳上にも拘らず、妹ユリヤが出来る事が出来ず、同級生の子らとも遊ぶことが出来ない
*目を合わせない
*名前を呼んでも返事をしない
*おむつが濡れても泣かない
*友達と一緒に遊ばない
この様な理由からである。
それでも何とか小学校は普通の小学校に通ったカレン。
だが、問題行動は一向に改善されない。
◆▽◆
(小学校・中学校)
*遅刻や忘れ物が多い
*ルールや順番を守れない
*特定の物にこだわる
*授業中にじっとしていることができない
*文字が読めなかったり、書き間違えたりする
*幼くて年齢相応でない
*同年齢でのお友だち付き合いができない
*自分の興味関心のあることしかしようとしない
*学習面の遅れが目立つ
いくら由緒正しいお寺、安徳寺のお嬢様でも
この様な事では話にならない。
子供達は残酷だ。
「カレンちゃん字も読めない」
「カレンちゃんと組んで体操したくない。だって私まで失敗するから」
「カレンちゃんと昼食食べたくない!私の弁当のおかず取って食べちゃうから」
女子からばかりではない。
よくクラスの悪ガキ達から授業中に動き回るからと言って、教室の柱にぐるぐる巻きに紐でしばられていた。
そんな時私は、周りなど気にせず思い切り泣いて泣きちぎったわ。
「ギャ————ッ!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
だが、あまり泣くので先生に怒られると思い、悪ガキたちは直ぐに紐をほどいてくれた。
散々な扱いをされている私だったが、全く応えていなかったのよ。エッヘへ~😜反対にズル賢いのでチャッカリ学習していた。大泣きすれば言う事を聞いて貰えるという事をウッフッフ~😁
カレンはチョット同年代の子供達より遅れの目立つ子では有ったが、その分、その遅れを取り戻すかのように、その何倍も可愛いお人形さんのような女の子。
男の子たちにすれば、カレンに悪さするのも好きの裏返しの様なもの。
あんなに泣かせておきながら、可愛いカレンの後を付いて回り、ちょっかいを出してばかり。
悪態を付きながらカレンの後を付ける悪ガキたち。
「………んもう……何なのよ?……鬱陶しい!べ———ッだ!」
付いてくる悪ガキたちに「べ———ッだ!」のお返し。更には怖い顔で睨み付けている。
すると、待ってましたとばかりに、すかさず、悪ガキの1人が暴言を吐いた。
「オ-イ!クルクルパ-のクルクルパ——子」
「本当だ! クルクルパ―!クルクルパ―!クルクルパ―!」
やがて大合唱になった
「クルクルパ―!クルクルパ―!」
要は普通にしていては振り向いてくれないので、男の子達にしても苦肉の策なのだ。可愛いカレンに、ちょっかいを出し悪態を付き、構って欲しいばかり。
だが、カレンはこんな事くらいでは負けている様な子供ではなかった。
(もうチョッと行くと可愛らしい店構えの駄菓子屋がある………そして…そこで大声で泣けば……ウッフッフッフ~😁……泣きわめいてお菓子を……ウッフッフッフ~ゲットしよう😋?)とチャッカリ企んでいる。
丁度駄菓子屋の前あたりに着いたので「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」大泣きしてやった。
あんまり泣き止まないので根負けした悪ガキたちは「ゴメン許して!」
「許して下さい」
「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「……んもう………どうしたら許して貰えるんだ?」
「許してあげる代わりに駄菓子いっぱい買って!!」
この様な具合でチャッカリ買い食いを覚えたカレン。
つづく
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