水面
28階層にある湖、通称”海”。人口の浜辺があり人工的な波発生装置により、緩やかな海流が存在している。水深は約2キロメートルでダイビングを楽しむ人も多い。ボートの錨を下ろしてその場に固定し、水面にダイブする。水中には人工的に作られた水底の砂に海藻、や放流された魚が泳いでいる。小魚が繁殖し促すための人工プランクトンによってより繫栄をしている。ここには天敵となる大きい魚は滅多に流れ込んでこないので小魚の大群を見ることができる。39階層育ちの私は手持ちのスキャナーで1種類ずつスキャンしていく。39階層には小さな小川が1本地上に流れているだけで残りの水路は地下を通っている。そのためこうして人工的な海の代表である28階層や大きな貯水階層である27階層などに行くしか泳いだりすることはできない。今日は重装なのでゆったりと水深1キロメートルあたりまで潜る。今の装備だと1キロ200メートルの境から下の水圧に耐えることができないのでそれに配慮して1キロメートルまでにしている。1キロまで行くと天井の光が届かなくなりかけ薄暗くなり、小さな魚もここまでは潜ってこない。中型や運悪く27階層から流れ落ちてしまった大きい魚が息をひそめている。
深度メーターを見ながらゆっくり光の届かないところへ潜っていく。万が一トラブルで浮き上がれなくてもこの海には魚に似せた機械仕掛けの監視魚が異常がないか見ているため安心だ。1キロメートルのところで深度メーターが振動を発生させ、装着者に到達したことを教える。そこで深度を固定しうまく平衡を保つ。酸素ボンベの残りを確認しこれならあと1時間寝れるなと思い、目を閉じる。28階層の街の活気とは真反対にシンとした静寂と水音だけが響いている。
その静かな中で地表にある本物の海に思いをはせながら眠りについた。
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