初めて出来た彼女に浮気されたらギャルと同居することになった

東雲 時雨

プロローグ

第1話 浮気


 俺、北瀬きたせ 夏樹なつきは今最ッッッッッ高に幸せだ!

 ………なぜって?

 特別に教えてやろう!

 彼女が出来たんだ!………彼女が出来たんだ!!

 大事な事だから二回言った。

 どうだ、羨ましいだろ、世の年齢=彼女いない歴の童貞ども!

 俺はいま猛烈に人生を満喫しているっ!


 彼女と下校、初めて手を繋いで俺は緊張しかなかったけど、手を繋げて嬉しそうにはにかむ彼女が可愛かった。


 彼女と初デート、結局無難に遊園地だったけど、はしゃいだり、お化け屋敷でおっかなびっくりする彼女が可愛かった。


 彼女とカラオケ、俺は言うまでもなく下手だったけど、彼女の歌が上手すぎたし、歌ってる時の楽しそうな彼女が可愛かった。


 彼女とプール、水着姿ももちろん可愛かったし、意外にカナヅチで、泳げない事を恥ずかしがってる彼女が可愛かった。


 彼女とお勉強、メガネを掛けてたし、俺よりも点数低いのに一生懸命教えようとしてくれる彼女が可愛かった。


 彼女とお買い物、服屋さんや、アクセサリーショップ、物は買わなかったけど、回ってる時の目をキラキラ輝かせた彼女が可愛かった。


 彼女と初めてのキス、俺はもちろん初めてだったけど、彼女も初めてだったらしい。どっちも初めてで一回目はぎこちないキスだったけど、その後の少し火照った彼女が可愛かった。


 その後にもちろん、恋人として致すことは致したし、俺はそんな彼女との時間が最高に楽しくて、大好きで、何よりも大事にしたいと思っていた。

 これからも、ずっと、ずっとずっと彼女と一緒に居られたらいいなと思っ

ていた。

 俺は彼女の事が大好きで、彼女も俺の事を想ってくれていると信じていた。


 ――――信じて、いたんだ。


 

だが、俺が見ているこの光景は今までの彼女との時間を全て否定されたような、そんな光景だった。

 

 受け入れたくない、この目に写したくない、嫌だ……嫌だ嫌だ!

 誰か……、誰かこの状況を説明してくれよ!

 彼女が浮気してるなんて、信じたくねぇよ、でも!だったら、俺はどうすればいいんだよ―――――っっ!


 俺は心の中でそう強く叫んだ。



 ♢♢♢



 少し、遡って話をしようか。


 俺は今学校帰りにある公園に来ている。

 少し休憩でもしようかと思ったからだ。

 すると何だ……?

 俺は目の前の光景に膝から崩れ落ちた。

 目の前で俺の彼女が知らないイケメンと熱烈なキスをしている最中だった。

 やめろ……、やめろ、やめろ!やめてくれっ!

 嘘だと言ってくれよ!

 だが、俺の脳はこれを浮気じゃないと認識出来なかったようだ。

 ……当たり前だ。こんなキスは友達とはしないし、そもそも彼氏がいるのに他の男とキスをする意味がわからない。

 だが俺は信じられなかった、いや、信じたくなかった。

 あのかわいくて健気で真面目な彼女が浮気をしてるなんて、信じられる訳がない。

 しかも昨日まで一緒に帰ったり、デートしたり、キスだってたくさんしてた。

 まさか、俺は遊びだったのか……?


 ………きっと勘違いだ、そうだ、そうにちがいない。

 ま、まぁでも、写真くらいとっとくか……。

 あ、あくまで念のためだし、彼女を怪しんでるとかじゃないし。

 俺はそう自分に言い聞かせながら、震える手を押さえて、パシャッ、とスマホで一枚の写真を撮った。

 うん、しっかり顔は写ってる。

 その瞬間、パッと彼女がこちらの方向を向いた。

 ………完全に目が合った。

 俺は写真を撮った後、全力で走って公園を出た。

 現実から、目の前の光景から、目を背けるために……。


「………ヘタレだなぁ、俺」


 そう、思った。

 ここでラブコメ主人公だったら、『何してるんだっ!』って飛び出すだろうけど、生憎俺は主人公でもなんでもない。

 ヘタレな俺には証拠写真を撮ることと、現実から逃げることしかできなかった。

 そりゃこんなヘタレには愛想尽かすよな………ははっ。


そんなことを考えてたらまた感情が昂ってきた。

 俺は拳を強く握りしめ心の中でそう強く叫んだ。


『クソ――――――ッッッ!!』









***

一話目なのに、文字数が少なくなってしまいました。申し訳ございません。

現在十数話書いているのですが、キリのいい所まで書いたら、一気に投稿して行こうと思っております。

ただ、もう少し先になりそうなので、一話目だけ投稿しておく事にしました。

一話目を読んで、続きが気になった方、是非作品をフォローして、次話の更新をお待ちください。


☆、レビュー、待ってます!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る