レンタル愛情業

仁矢田美弥

第1話

 部屋の表札の名は「曽野あつ江」。私の仕事では、介護付き老人ホームでの需要もたまにある。

 この仕事を選んで4年目。

 もうプロといえるだろうか。


 「レンタル愛情業・ほほえみ」

 これが私の働く会社の名前。

 

 介護職だと思っていたが、どうも違うらしい。「愛情」をレンタルしてもらう一種の社会事業。

「いつわりの愛情を貸すんですか」

 面接で尋ねた私に面接官(あとで社長だと知った)は「いつわりではありません。よくよく身に刻んでほしいのは、あなた方がプロとしてクライアントを愛するということです」とぴしゃりと言った。


 私、奥野真理奈は現在、プロの愛情師といえるだろうか。

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