第2話 初めての循環バス。

那実人くんは、離島の中学校が廃校になってしまって、わたしの通う中学校に転校して来た可愛い系で自称が『吾輩』の変わった少年だ。


自己紹介の時『吾輩』と言った時のクラスの驚きは凄かった。

多分、ずっとかなり少人数のクラスで、すくすくと自由に育って来たのだろう。


その那実人くんが、挙動不審状態で路線バスに乗ってきた。


私服の那実人(なみと)くんを、見るのは初めてだ。


なんだろう?

なんか服が、めっちゃ余所行き感いっぱいのなんだけど。

彼にとっての都会のイメージなのだろう。


離島に比べればこの街は都会だけど、どちらかと言うと田舎だ。

その服は、気合入れ過ぎ!


その彼にとって初めての循環バスなのだろう。

こっちにも伝わるくらい、どっきどきの表情をしていた。


海の香りがしそうなちょっと日焼けした那実人くんは、バスの運転手と何か話した後、わたしの存在に気付いた。


バスは良い感じに混んでいて、ちょうどわたしの隣の席が空いていた。

同じクラスの女子であるわたしの隣に座らないと、気まずいくらいの混み具合だ。


『吾輩は、赤の他人の女子なら、気にしないけど、同じクラスの女子なら、何かを会話しないと気まずいと思った』


って表情の憂鬱な那実人くんだが、この混み具合&雰囲気。


わたしの隣に座らないと不味いんじゃないの?

少年は伏目がちに軽く会釈すると、わたしの隣に座った。でも、


「・・・」

「・・・」


明らかに焦る無口な那実人くん。


はぁ~、女子の方から話しかけるのもと思ったが、わたしは仕方なく、話を振った。

『雨の日にだけ、うちのレストランに来る雨女さま』の話を。



つづき へお越し頂けると嬉しいです♪ ルン♪ o(≧▽≦)o ルン♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る