守ること-2

 興一「CDC-カリブディス。守備隊は損耗大きい、僕が行く!!」

 要「先輩自ら!?」

 澪「総司令!!」

 景治「死ぬなよ、弓張准将」


 弟子達のいる船を一瞥すると、船の中に居る果苗に全てを任せて飛び出していった。

 戦闘境界面の中に入り、最後尾の敵に無慈悲の一撃を放つ。


 その一撃一撃はまさに圧倒的であり、レトキシラーデが彼の攻撃を被れば大抵一撃で捻り倒せる。そんな奴が後方から現れるとは思わず、敵は遠距離からのアトラトル(原始的な短槍投擲装置)の波状攻撃が開始された。

 戦車やコルベット、戦闘ヘリであれば貫徹・破壊する能力を持つ。しかし…


 興一「斥力」


 全ての攻撃を斥力により弾き飛ばし、追い込み漁を開始する。アトラトルを放つ事に特化した“アウトラル・ビーン”は可愛く蜂をデフォルメした様な見た目に、更に肩からもう2本腕が生えアトラトルを投射する仕組みになっていた。

 だが、槍自体を持って猪突してくる相手だ。近接で仕留めねばなかなかに芳しくない。


 興一は刀を抜き全高40メートルの化け物を一刀両断した。

 さらに周囲から襲ってくるアウトラル・ビーンにブラックホールを展開、シンガリを務める強敵共を撃滅した。


 興一「後はそっちでやれそうですか?」

 要「おそらく行けます、無人溶融塩炉型…後は頼んだぞ」


 財団のバトルフィートである、海護財団総本部敷島第7フロート要塞より南方の海域。ここらに誘い込んで撃滅する。

 要塞の荷電粒子砲群とカルメア型の荷電粒子砲の十字砲火によりレトキシラーデは壊滅した。


 要「ふう…何とかなりましたね」

 澪「あぁ」

 里帆「助か…ってない!前方から敵多数、レーザー制圧型です!」


 海護財団の戦力を必ず削るのが敵の思惑だろう。東亜探題守備艦隊・戦闘団さえ無力化出来れば伊豆大島や八丈島などの火山島の制圧が可能。となれば、富士山や箱根山、赤城山も射程範囲内となる。


 光隆「陸唯、みんなを頼むぞ」

 陸唯「お安い御用だ」

 光隆「光音、やれるな?」

 光音「行くしかなさそう、でも…光隆が光隆じゃなくなりそう」

 光隆「おれは…ここにいる、ここに居続ける。行くぞ」


………


 興一「敵も“フォール型”、いやもっと上…“女王”の精鋭“レーザー制圧型”…相手にとって不足なし、行くぞ!」

 景治「現状、スパイが財団内部にも居る可能性がある。なるべく全力は出さないで頂きたい」

 興一「承知した。」


 連絡を終えた途端、側面からのレーザー射撃を少ない動きで躱し蹴りによりねじ伏せた。更に本部に射撃しようとした奴には興一の日本刀の一閃で粉微塵となった。


 興一には敵わんとカルメア型に対して襲い掛かり、レーザー制圧型は一瞬で撃破してしまう。


 興一「中央砲塔が乗っていない、簡易型か。それでもかなりの強度があるはずだが…」

 要「先輩!危ない!!」

 興一「!?」 


 側面からのレーザー制圧型の毒気を喰らう、一瞬意識の揺らぐ興一。死を覚悟し静かに閉じるも、即座に陽電子徹甲砲の一撃が飛ばされた。


 光隆「大丈夫か、興一さん!」

 興一「君こそ…意識は大丈夫な様で安心した。」

 光音「まだ敵がたくさん、どうする?」

 光隆「全部ぶっ飛ばす!」

 興一「負荷が多すぎる。降りた瞬間ぶっ倒れるぞ!」

 光隆「それでもいい、ここで引いたらみんな“いなくなる”んでしょう」

 興一「…分かった。CDC、打ち続けろ。注意をそっちに逸らして下さい」

 茜「本丸を囮に使うか…」

 景治「許可しよう」


 LA15は迅速に敵の後方へと向かう。長射程高威力の陽電子徹甲砲塔の収束率を下げ放つ。後方への急な陣地転換には敵も追い付かず、前後から滅多打ちにされてゆく。

 

 そして、海域に残ったのはレトキシラーデの残骸だけであった。彼らは外殻とコアを除けばケイ素とタンパク質でできている様で、食べようと思えば食べれるのだとか。


 光隆「勝った…」

 光音「光隆、光隆あ…」

 興一「2人とも、助太刀ありがとう。僕は一応大丈夫、2人を医務室に運ぶ。」

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