第5話人間洋服

洋服は人間が着る物。


いや、それは違う。


人間は洋服に着られる側になったのだ。


洋服に意思が生まれたのはつい最近のこと。


突然洋服が暴れ出し、人を引き裂いて皮を纏いはじめた。


今では悠々と洋服たちが空浮き、人間を見つけては引き千切り、身に纏う。


そのファッションも実に多彩。


人間の目玉を大量に取って、ネックレスのように着けるもの。


髪の毛を全身に纏うもの。


手を大量に貼り付け、千手観音のようになるもの。


どれも思わず見惚れてしまうものばかりだ。


人間が蔓延る世界は終わった。


人間は狩られるもの。


そう、人類は人間洋服になったのだ。



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