オトシモノ

序章

 ある所に拾い癖のある男がいました。


 男は道端に落ちているハンカチを拾いました。


 次に、ベンチで麦わら帽子を拾いました。


 今度は、木に挟まってる赤い風船を拾いました。


 それから、排水溝で欠けた宝石がついた指輪を拾いました。


 他には、片腕のないお人形に、骨が折れた傘。水で濡れた離婚届や、赤黒く変色した革財布。


 こうして、男は誰のか分からない落とし物を次々に拾っていきました。


 道端を歩いていると、突然、空から何かが降ってきました。それは男の頭にぶつかり、地面へと落ちました。


 男は何かと思いそれを拾い上げました。


 するとソレは、誰のか分からない肝臓でした。

 男はソレを見てポツリと呟きました。


「これは一体、誰のオトシモノでしょうか」


 

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