エクスシストで美麗すぎる神父・クリスと、彼の教会に身を寄せている人狼の少年・ディーン。ある日、クリスの恩師のお願いでジェレミーを預かる(?)ことに――。
真面目・厳格・音痴っぷりを発揮するジェレミーを含めた三人での生活が始まった。だけど、ジェレミーに近づく影が――?
まさかの男子校ノリ!?な、愛と信仰の怒涛のパラノマ小説・神慈悲シリーズ第三段!
Ⅰ、Ⅱに引き続き、Ⅲでも、濃いキャラ満載でとても楽しく読ませていただいた小説です。
冒頭から大暴れ(?)な吸血鬼、だけど食えないひとすぎるノーランさん。容姿の美しさはさることながら、彼自身の佇まいが美しくて逆に問題が発生しそうな危ういところが魅力的なクリス。そしてそして、等身大のティーンエイジャーなのに実はなりそこねちゃった人狼というディーンくん。彼らが文章の中で踊る踊る! いや、読者が踊らされる!
新キャラ登場、ジェレミーの堅物っぷりには、ディーンくん目線で語らられるつっこみが面白くて(それ以外にもノーランさん敵視な場面も楽しいし、ジェレミーのアレなシーンもディーンくん人称だから読めてしまった!)、ついつににやにやしながら、読ませていただきました。あと、まさかのあのシーンんのおや?と思ったところが伏線になっていたとは……!
ところどころ笑いのポイントがあって、テーマがテーマだけに、重くなりすぎないちょうどいいバランスに、読み進めるのが今までのシリーズのなかで一番おもしろおかしく読ませていただいた作品でした。
調べてみたら意味が見えてくるところも好きなポイントだったりするのです。(今回も注釈が付いているので、神慈悲ノートを見て読後に楽しみがあります……ありがたい……)
ただわかりやすければいいというものではなくて、作者のかたが「これぞ」と思うものを書き切ろうという情熱をそのまま作品に反映したからこその神慈悲という部分が、読んでいてとても楽しい。知識のない人間ですら、わからなくても、そこに引き込まれていく力を持った小説なので、ぜひ、未読のかたにすすめたいと思ってレビューを書いています。
それに今回はキャラ小説としても、濃いキャラばかりで楽しいというのに加えて、ちょっとBLめが強めかも……!! かなり刺激的でした……!!
他にも、ばこんと殴るようなかなり濃いキャラもいらっしゃいますがネタばれを避けるために、語りたいがここは割愛。
前作登場キャラが随所随所で登場したり前作の匂いを引き継いで、展開する物語はシリーズものならではで、面白さそのままに新しい面白さを追加された感じ、どんどん成長して行くディーンくん同様、神慈悲シリーズもどんどん進んでいく面白さがあります!
小説のスタイルにはいろいろとありますが、始まってワクワクをそのまま突き抜ける始まりの小説と、読後のすばらしさに心やられる終わりの小説と二種類にわけるのなら、神慈悲は、終わりの小説に属するほうだと思っています。つまり、とにかく、終わりのほうになればなるほど、より盛り上がっていく!
散らばっていた断片が、ひとつにまとまっていく収束の心地よさ、また、最後のオチの落とされ方、すとんときて心地よい終わりかと思えば、そこからの外し方、というか、斜めから割って入るようなエンディング!
読み始めたらぜひ最後まで読んでほしい作品です。
前作に比べても違った角度から彼らに挑むⅢ、いろいろな意味でパワーアップし続けている神慈悲シリーズから、目が離せません!
以上、Ⅳ正座待機中のいち読者からのレビューでした。
(実は、この文章を書く前にガチめのテンションでレビュー用の文章を書いたのですが、ものすごくネタバレ怪文書となってしまったので、こうして、ぼやかしながら、短くしてみました。本当はすこしでも多くのかたに読んでもらいたいのでもっと端的にここがすごい面白い!自分はここに心やられた!みたいなものをもっと前面に出したいのですが…うまくおすすめすることができない自分が悔しいです。
でもでも、少しでも神慈悲ファンを増やしたい(笑)ので、気になるひとは、いますぐGO! 心やられている人間がいる作品なので、ぜひⅠから手にとってみてほしいと切に思います!)