バトルゲーム〜デスクィーン降臨
kajin
第1話 バトルゲーム『無双天地』
ーー今、世界中である対戦型のオンラインゲームが人気を博している。その名を『無双天地』
簡単に説明すると、壮大なエリアの中で出会った相手のキャラクターを武器や技でぶっ倒して行く爽快かつ痛快なゲームなのだが、この手のゲームは類似の作品が数多有る。その中でこのゲームが世界中のプレイヤーたちを夢中にさせる要因として…。
1、携帯、パソコン、テレビゲームのどれからでもアカウントIDとパスワードとプレイヤー名を入力するだけでログイン出来ると言うこと。(携帯、パソコンはアプリからテレビゲームはソフトからオンライン参加にして携帯、パソコンと接続出来る)
2、見目麗しい神仙・妖怪・悪魔・天使・人間のキャラクターたちが残忍なほど問答無用に闘う姿。
3、倒した相手の武器や技を自分のモノに出来る。これは結構面白い設定だと思う。
4、バトルフィールドが七種類(高天原編・九天編・天竺編・ヴァルハラ編・オリンポス編、聖地エルサレム編・ヘリオポリス編)あり、その背景の映像美は圧巻だ。
基本、個人戦をベースとしたゲームだが、気の合った相手と手を組み団体戦(各五名まで)も可能な優れたゲームである。
それでも、この『無双天地』とよく似たゲームはまだまだ有って、何故世界中のプレイヤーたちがこれ程夢中になるのか解らないとネット上で呟かれている。だが、プレイヤーたちは言う。「このゲームの真の楽しさは『デスクィーン』との対戦だと。
『デスクィーン』とは、男か女かも分からない正体不明の強者プレイヤーで、流星の如く突然現れあっと言う間に各フィールド編でランキング一位になった、話題の人物である。
『デスクィーン』と闘いたがるプレイヤーたちや団体戦の仲間に誘いたがるプレイヤーたちは何度もオファーを試みるが、『デスクィーン』はそのオファーに一切応じること無く、日々気まぐれに現れては一人で対戦相手をぶっ倒しては武器や技を手に入れ強くなっていた。
そんなある日。制作者サイドから対抗戦の知らせが世界中のプレイヤーたちに届いた。《ラグナロク》と名付けられたその対抗戦の内容は驚くもので『無双天地』の各七つのバトルフィールドでのランキング一位から三位のプレイヤーのみが参加。各プレイヤーたちが日頃愛用するキャラクターたちの能力や装備は対抗戦用に初期化されているが、特別にサブキャラ二名を各バトルフィールド内から選べる。但し、メインキャラが戦闘不能になれば使用出来ない。
バトルフィールドは対抗戦用に造られたオリジナルフィールドで、個人・団体を問わずプレイ出来る上、全てのプレイヤーに勝った勝者には賞金とゲームキングの称号(kingofking)が贈られると言う。そして嬉しいことに下位のプレイヤーたちも闘いに参加することは出来ないがログインして観戦や応援は可能と記載されていた。しかし、世界中のプレイヤーたちを最も驚かせたのは最後に記載されていた文章だった。
『デスクィーン』君の栄光もここまでかも知れない。日頃一人で闘う君を讃え我々も最高の闘いの場を用意させて貰った。全てのフィールドの垣根を超えてどのフィールド編のキャラクターでも使用することを許可しよう。
さぁ、一体どんな強者たちが君に闘いを挑むか我々もとても楽しみだ。流石の君でも、簡単には勝てないだろう…と。つまり、日頃一人で闘う『デスクィーン』に団体で挑んでもいいと言うことだ。
これを読んだ世界中のプレイヤーたちが興奮と歓喜に震えている中、日本のあるマンションの一室では一人の人物がパソコン画面を食いいる様に見つめていた。
「…面白い。公の場で宣戦布告とは…なら、こちらも容赦しない!全てのフィールド編のキャラを集合させるなんてこちらにも好都合だ」チラリとパソコンの横に立てられた写真立てに目を向けた人物は、愛おしそうに写真に写る男性を撫でた。
「貴方の仇は必ず取る。見ていて!このゲームの真実を世界中に分からせてあげるから」
パソコン画面に映る宣戦布告の内容に拳を握り締める人物の手は長くとても美しかった。
こうしてバトルゲーム『無双天地』の新たなる闘いの幕が上がった。
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