あっ、
あか
第1話
「美しい…」素直にそう思った。
先生に頼まれたプリントを届けに行く途中、僕は彼女に出会った。彼女は美術室で絵を描いていた。彼女の絵はユリの花だった。持っていたプリントを落としてしまう程、彼女の描く絵はもちろん、彼女の真剣な横顔が僕の心を打った。
僕は次の日もこっそり彼女を見に行った。次の日も見に行った。そして僕は毎日のように彼女を見に行くようになっていた。いつの間にか僕は彼女の虜になっていたようだ。
ある日いつものように彼女を見に行くと、彼女が描いている絵がユリではなくなっていた。紫色の花だった。花の名前は詳しくないからわからなかったが、調べてみるとライラックという花のようだ。花が違っても彼女の描く絵はやっぱり美しかった。
それからも毎日彼女を見に行った。絵はペンステモン、トリトマ、リナリア、モモと変わっていった。どれも綺麗だった。
僕は段々と彼女について知りたくなった。彼女の名前を知りたい。彼女の声を聴きたい。彼女と話してみたい。僕は人見知りだから話したことない人と話すのは苦手だけど、彼女とは話してみたいと心から思った。
今日こそはと僕は彼女より先に美術室に行き彼女を待った。数分すると彼女が来た。彼女と目が合った。
「あっ、」
あっ、 あか @akasana1s39
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