第4話
旧には誤算があった。【重力制御】に、魔力消費があったのだ。
だから、魔力が尽きると上空100メートルからドスンッ!と、漫画のような効果音を立てて落下した。
と、いうことで、
『全米が泣いたッ!絶賛歩き中!』
の旧君である。
その状態を人はこういう———
「「「どんまい」」」と。
そんな気が抜けた状態の中、ボーーーーーっと歩いていると、背中に蛮刀が突き刺さった。
「ゑ・・・?」
旧は本気で驚愕していた。背中に蛮刀が突き刺さったからではない。蛮刀が突き刺さ
ったからにもかかわらず、痛みを感じなかったからだ。
転生者って、やっばーい!それがしばらく(背中に蛮刀が突き刺さったままで)考えた
旧の感想だった。
言うまでもない が、これは悪魔になったものである。この世界には、種族効果というものがあり、その効果で【不死】(死なない) 【攻撃痛覚無効】(攻撃されても痛みを感じない) 【即時回復】(すぐ回復する) がついており、俗にいう、「最強」なのだッ!!
蛮刀に手をかけぬくと、そこにはもう傷がない。種族効果のおかげである。
かるーく振ってみると、ヒュンッ!とおとがする。その調子で力を込めて振ってみると、グオン!と音を立て、前の木を消し飛ばした。
で、後ろを向くと敵意むき出しのモンスター。ファンタジー世界でおなじみの小鬼(ゴブリン)が何処から出したかわからない蛮刀を手にこちらに殺気を放ってきている。
『普通の一般人に何を物騒な…』
そもそも人ではないことを忘れている旧。そして人だとしても殺気を感じることは普通できない。
と、いきなり相手の殺気が膨れ上がった。次の瞬間、こちらに向けて蛮刀をまたもや投げてくる。慌ててよける旧。
カッ!!と後ろの木に刺さる蛮刀。
『だから普通の一般人に何を・・・』
『あ。』
スキルの存在を思い出した旧。
今更だが、【武器錬成】を使う。すると、旧の手の中に禍々しい大鎌が出現した。
血に染まったソレは存在するだけで見たものが身震いするような存在感を放っていた。
頭の中で想像した通りに構えると、彼の体から信じられないほどの殺気が放たれる。
一歩下がるゴブリンたち。
『え?たち?』
そう『たち』だ。いつの彼の前には30匹を優に超えるゴブリンに囲まれていた。
「ならいえよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
突っ込みと同時に大鎌をふるう。
大鎌からザシュッ!と音を立てて四分の三ほどのゴブリンを切り捨てた。
『は?』
今日はなんだか感情の起伏が激しい旧である。
だが驚くのもムリはない。
旧の前には扇形に削れた大地と大量のゴブリンの死骸があった。
それを見て背を見せ逃げていくゴブリンたち。それを再び鎌の一撃で黙らせる。
戦闘終了。フ——と気を抜く旧。すると———
足もとの地面が消失した。
『は————?』
比喩ではない。(といっても比喩でもそんなことはないのだが)
上を見るとそこにはかつてない迫力をたたえたフードを被った謎の人物が、大剣を振りぬいた姿勢で立っていて。
下を見るとそこには深い闇があった。
『落ちたら死ぬなこれ…』
じゃあ【重力制御】を使って飛ぶ———って何やってんのぉ!?そー言えば今魔力0やんッ!
そうでした。魔力0の旧君は深い谷底に落ちていった———
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます