捨てちゃえよ…【凛と拓夢の話2】

暫くして、拓夢とまっつんさんが現れる。


「じゃあ、後でね。凛ちゃん」


「うん」


まっつんさんが、やって来て理沙ちゃんはいなくなってしまった。


「ごめん。話がしたいなんて言って…」


拓夢は、申し訳なさそうな顔をして近づいてきた。


「ううん。大丈夫だよ」


私は、そう言って笑った。


「どこで、話そうか?」


「どこでも…」


「せっかくだから、海見ながらがいいよな」


「でも、暗くなっちゃうよ」


「そうだな、夕日が終わりそうだよな」


夕暮れの海辺は、見渡す限り誰もいなかった。


「人いないから、どこでもいいんじゃないかな」


「じゃあ、ここでいいかー」


そう言って、私と拓夢はその場に座る。


「子供の頃は、よくこうやって砂の上に座ったりしてた」


「凛も!俺も同じだよ」


ブブッ…


「スマホ鳴ったよ」


「あっ、うん」


拓夢に言われて、私は、スマホを見た。


♡♡♡♡♡♡


「凛?」


スマホを見て、泣いてる凛を俺は見つめる。


「いるのこれ?いらないよね」


そう言って、凛は俺にスマホの画面を見せる。


「産まれたんだってー。おめでとうってやっぱり思えない」


俺は、ハンカチをポケットから取り出して凛に渡す。


「拓夢……。せっかく、楽しかったのに…」


凛は、ハンカチを受け取ってくれないから俺は、凛の涙をハンカチで拭う。


「楽しい事があったら、すぐにこうなるの…。私、そういう風になってるのかな?」


「そんなわけないだろ?」


「じゃあ、何で…」


俺は、凛の涙を拭い続ける。


「あのさ、凛」


「何?」


「もう、全部捨てちゃったらどうかな?」


俺の言葉に凛は、俺をジッーと見つめた。


「何を…?」


「友達をだよ」


そう言って、俺は凛を見つめる。


俺は凛に、これ以上絶望を味わって欲しくなかった。


♡♡♡♡♡♡


拓夢に言われて、スマホを開いた。


【無事、産まれました♡会ったら、抱っこしてあげてね♡】


その文章と共に赤ちゃんと映る雪乃の写真。これいるのかな?


私は、拓夢にスマホの画面を見せて泣いていた。楽しかったのに、こうやってすぐに絶望がやってくる。


拓夢から、渡されたハンカチを受け取る気力もなかった。


友達を…。拓夢の言葉に私は、考えていた。


「そしたら、私。友達いなくなっちゃう」


何故か、そんな言葉が口から出た。


「友達は、いないといけないのかな?」


「わからない」


友達が必要なのか必要じゃないのか、もうわからなかった。


「友達なら、俺や理沙ちゃんやまっつんやかねやんやしゅんがいるだろ?」


私は、拓夢の言葉に驚いた顔をした。


「俺達が、凛の友達になるから…。だから、凛。もう、捨てなよ」


拓夢の言葉に私は、スマホを拓夢に差し出した。


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