花束…【凛】
早くしなければ、花屋さんに寄る事が出来ない。お店には、昨日相沢さんと別れた後に連絡していた。108本の薔薇の花束をと言うと驚かれたけれど…。すぐに大丈夫ですと言ってくれた。
「凛ちゃん、お腹痛いの?」
「えっ?」
「さっきから、お腹擦ってるから…」
理沙ちゃんに言われて自分が無意識にお腹を擦ってる事に気づいた。
「ううん、大丈夫」
「なら、いいんだけど」
話せないまま、とうとう改札についてしまった。
改札を抜けて花屋さんまでは、歩いて5分程の距離にある。
「あ、あのね」
もう、私は覚悟を決めていた。
「何?」
「今日、理沙ちゃんプロポーズされるの」
「えっ?誰に?」
理沙ちゃんは、めちゃくちゃ驚いた顔をしていた。
「そ、その…」
たくさんの人が行き交うから、私はそれ以上言えなかった。
「花束を買いについてきて」
私は、驚いた理沙ちゃんにそう言ってお花屋さんに入った。
「いらっしゃいませ」
「あの、予約してる皆月です」
「お待ちしておりました」
店員さんは、真っ赤な薔薇の花束を私に差し出してくれた。私は、お会計を払って領収書をもらう。
「ありがとうございました」
店員さんに見送られながら、店をあとにした。
「凛ちゃん、それって理沙の為?」
「うん」
私は、理沙ちゃんの言葉に頷いていた。
「サプライズじゃないんだね」
理沙ちゃんは、そう言って悲しそうな顔をした。
「そうだよね。サプライズがよかったよね」
私は、そう言って頷いていた。
「ごめんね。そんなつもりじゃなくて…」
「ううん。わかるよ!プロポーズなら、本人からされたいよね」
私と理沙ちゃんは、事務所についた。
「お待ちしてました」
相沢さんが、待ってくれていて私達は大きな車に乗り込んだ。運転席には、別の人が乗っていた。
「凛さん、もう話しましたか?」
相沢さんにそう言われて私は、「まだです」と話した。相沢さんは、「そうですか」と言った後で私に話した話を理沙ちゃんにした。
「それって、私と優太の結婚を認めてくれるって事ですか?」
「勿論ですよ。松田君と理沙さんには、何の非もありませんよ。堂々と胸を張って生きていくべきです」
相沢さんの言葉に、理沙ちゃんは泣いていた。そして、車がついた。
相沢さんが考えたプランを私と理沙ちゃんは実行した。
メイクを施されて、私は真っ赤なドレスに着替えさせられて、理沙ちゃんは純白のウエディングドレスを着ていた。そして、私と理沙ちゃんは、車の扉が開くまで待機していた。
「凛ちゃん」
「大丈夫だよ」
私は、理沙ちゃんにそう言って笑った。
暫くして、車の扉が開いた。
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