クリスマスデビューイベント2【拓夢】

その言葉に、俺達は智天使ケルビムを見つめていた。


「じゃあ、行くよ!相沢さん」


「はやと、みんなは?」


「何とか説得したよ」


そう言って、笑ってるのは間違いなく鴨池はやてだ。


「拓夢、君の誤解をちゃんと解いてくるよ」


そう言って、鴨池はやては俺の手を握りしめた。


「お願いします」


俺は、深々と頭を下げた。


「頼むよ!はやと」


相沢さんは、鴨池はやての背中を叩いた。


ド、ドン、ドン…


とドラムの音が響いたと思ったら…。


♪(想像された世界で)♪


智天使ケルビムの音楽が流れ始めた。

あんなに怒っていた人達が、「キャー、キャー」と黄色い声援を送り始める。


「SNOWROSEのみんな、ちゃんと目に焼き付けな!これが、智天使ケルビムだ」


相沢さんにそう言われて俺達は、舞台に上がった智天使ケルビムを見つめる。智天使ケルビムの顔は、スモークと光でうまく見えないようになっている。


「皆さん、こんばんは!智天使ケルビムです」


「キャー、キャー」


「一時間ちょっと遅れてごめんなさい。俺達、色々話し合ってた」


「いいよー、いいよー」


たくさんのお客さんが、智天使ケルビムが来た事に歓声をあげてる。


「週刊紙だったり、掲示板だったり、SNOWROSEの事、色々言われてるだろ?」


「不倫は駄目!」


「不貞行為するバンドはありえない」


みんなが叫ぶ。


「おいおい!そんな風に言うなよ!智天使ケルビムを愛してくれる天使は、智天使ケルビムが応援するものを純粋に応援して欲しいんだ」


「するー、するー」


そう言って、みんなが叫んでる。


「天使って何ですか?」まっつんが相沢さんに尋ねる。


「あー、智天使ケルビムは、ファンを天使って呼んでるんだよ」


そう言って、相沢さんは笑っていた。


「今から、智天使ケルビムが君達の味方になる。そしたら、どうなるかわかる?」


相沢さんは、俺達の肩を叩いた。


「SNOWROSEは、売れるんだ」


そう言って、相沢さんは笑った。俺は、智天使ケルビムを見つめていた。


「じゃあ、今回俺がSNOWROSEのデビューイベントに何で参加しようと決めたかお話しようと思います」


「はやとー、はやとー」


ファンの皆さんが、叫びだした。


はやとさん、ジュンさん、もっちんさん、ユウさんが話し始める。


「こんな風に聞いても、まだSNOWROSEは応援できない?」


「するー」


「応援するよ」


「味方になるよ」


会場内のあちこちで、そんな声が響いてくる。


「相沢さん」


「凄いだろ?これが、智天使ケルビムなんだ」


相沢さんは、そう言いながら笑ってる。


「じゃあ、もう少ししたら君達の出番だよ!用意しようか」


「はい」


俺達は、そう言われて用意を始める。俺は、緊張して、ドキドキする。

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