いちいちいらないよね【凛】
「不妊の人は、全員不倫しちゃうみたいな記事だったでしょ?」
はやとさんに言われて私は、頷いていた。
「
週刊紙に怨みがありそうなはやとさんは、そう言ってから珈琲を飲んでいる。
「俺も散々やられたからわかるんだよ!凛さん、あんなので傷ついちゃ駄目だよ」
「はい」
「世間の言葉みたいに言ってるけどさ…。結局、100人全員が思ってるわけじゃないから…。それを100人全員が言ってるようにしちゃうのが怖い所なんだよ」
はやとさんは、そう言いながら首を左右に振っていた。
「近所の人とかにバレなかったらいいんだけど…。大丈夫?」
私は、その言葉にはやとさんを驚いた顔で見つめていた。
「バレないと思ってた?」
私は、はやとさんの言葉に頷いていた。
「特徴的なものは、映ってなかった?大丈夫?」
「多分…」
「それなら、いいんだけど。だいたい、そういうのから見つかったりしちゃうから」
そう言って、はやとさんは苦笑いを浮かべていた。
「そろそろ。仕事だよ」
相沢さんは、龍ちゃんと話し終わってチラリと時計を見てそう言った。
「日曜日も仕事って大変ですね」
龍ちゃんの言葉に相沢さんは笑って「みんなが休みの日が稼ぎ時ですからね」と言った。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
私と龍ちゃんも帰る支度をする。
「ゆっくり出来なくてすみません」
相沢さんは、龍ちゃんに申し訳なく話していた。
「充分しましたよ」
そう言って、相沢さんと龍ちゃんは一緒に出て行く。
「素敵な人だね」
隣に立ったはやとさんにそう言われた。
「そうなんです」
私は、少し恥ずかしくなりながら答えた。
「優しさだけじゃ癒えない傷があったんだよね」
そう言って、はやとさんは笑った。
「わがままですよね」
私の言葉にはやとさんは、「ううん」と言って首を左右に振った。
「あの日の私には、拓夢が必要でした。そうじゃなかったら、私は…」
その言葉にはやとさんは、何かを察してこう言った。
「俺の親友と同じ事になっていたかもしれないんですよね」
「同じ事?」
「俺の親友は…」
「はやと、急ぐぞ」
「あっ、はい」
相沢さんに呼ばれてはやとさんは、急いで歩きながら「よかったら、これ見て」と言った。
はやとさんは、私にスマホの画面を見せる。
そこには、【鴨池はやてが親友について】と書かれたサイトがうつっていた。
「ごめんなさい。暇だったら、検索して読んで見て」
そう言って、はやとさんは足早に相沢さんの元に行った。
「じゃあ、我々はここで」
「クリスマスに必ず行きます」
龍ちゃんは、相沢さんに頭を下げて私達は入り口で解散した。
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