なろう100000PV☆不純異性行為~月と星が交わる場所へ~あの時の二人を救ってくれたのは紛れもなくこの愛でした~【皆月凛、星村拓夢編】【本編完結済】【カクヨム版
本心【凛】(話をすると間違ってしまっていました)
本心【凛】(話をすると間違ってしまっていました)
私は、深呼吸をする。
「あの日の帰り道、星村さんとぶつかりました」
「はい」
はやとさんの優しい眼差しに泣きそうになる。
「お気に入りのキーホルダーを星村さんは、私に届けてくれました」
「はい」
「私は、星村さんにお礼をしたいと言ったんです」
「はい」
「それで、次の日に会う事になりました」
龍ちゃんが知らない話をしなくちゃいけない。拓夢といつそうなったかを私は話さなくちゃいけない。
「それで、二人はそうなっていったんですね?」
はやとさんは、私の様子に気づいてそう言ってくれた。
「はい。お互いの絶望が重なったみたいでした」
「それからは、定期的に会うようになったんですか?」
「そうですね。お互いに悲しみを癒すように会っていました」
はやとさんは、私の目を見つめて聞いてくる。
「凛さんは、拓夢と出会えて幸せでしたか?」
私は、その言葉に「はい」と言った。
「そうですか」
「はい。私は、星村さんに救われたんです。絶望の日々から、少しだけでも前を向けたんです」
龍ちゃんが話せと言っていた言葉を私ははやとさんに伝えた。
「そうですか…。わかりました」
はやとさんは、そう言って何かを考えながら珈琲を飲んだ。
「では、皆月龍次郎さんに話を聞かせてもらってもいいですか?」
龍ちゃんは、「はい」と返事をした。
私の胃がキリキリと痛み出す。龍ちゃんの本心を聞くんだ。
「皆月さんは、凛さんが拓夢と不倫していたのをいつから知っていましたか?」
はやとさんの言葉に、私の胸はドキリとする。
「それをお答えする事は、出来ません」
龍ちゃんの言葉に、私は龍ちゃんを見つめてしまう。
「それは、何故でしょうか?」
龍ちゃんは、そう言われて少し顎に手を当てて考えてから話し出した。
「そうですね。妻を傷つける事になりそうです」
「それでも、教えていただきたいのです」
はやとさんは、私に聞く時と違ってしつこく繰り返す。多分、龍ちゃんの本心を知りたいんだと思う。
「そうですね」
龍ちゃんは、そう言うとおでこを擦りながら話す。
「夫婦関係が存在していましたから、私は誰に言われるまでもなく妻が、私以外の誰かに抱かれている事に気づいていました」
私は、龍ちゃんの言葉に驚いた顔をした。いつから、バレていたのだろう?目の中に涙がゆっくりと溜まっていくのを感じる。
「それでも、言わなかったのですか?」
はやとさんは、龍ちゃんに尋ねる。
「言う必要はないと思いました。例え、妻に誰かが居たとしても…。その存在(ひと)は、私を越えないと思っていた。私と妻は、そんな脆い絆を交わした仲ではないと信じていましたから」
そう言うと龍ちゃんは、珈琲を飲む。龍ちゃんが他人には、自分の事を私と呼び、感情をいれないように淡々と話すのを私は知ってる。本当は、優しいのに優しいと悟られたくないんだと思う。龍ちゃんの中で、一線を置くような話し方なんだと思う。
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