久しぶりの感覚…
龍ちゃんが、お風呂から上がってくるまでの間に、私は晩御飯をダイニングテーブルに並べる。買い物に行かなかったから、家にあるもので済ませた。明日は、仲直りディナーでも作ろうかな?
お味噌汁を温め直して器に入れる、たまたま存在していた豚ミンチでつくねを作った。それも温め直す。焦げないようにタレをかけながら回した。出来上がり…。キャベツの千切りを乗せたお皿に盛り付けた。トレーに乗せて、持っていく。
「うまそうだなー」
龍ちゃんは、いつも通りにお風呂から上がってきた。
「買い物行ってなくて、ごめんね」
「いや、全然いいよ」
そう言って、龍ちゃんはキッチンにお水を飲みに行って、ビールを持って戻ってくる。
「凛も飲むだろ?」
「うん」
私は、そう言ってダイニングの椅子に座る。
「そのトレー、大きくて便利だよな!一回で持ってこれるから」
「そうだね」
龍ちゃんは、そう言って笑いながらビールを注いでくれる。
「ありがとう」
「ううん」
龍ちゃんと一緒に、「いただきます」を言って食べ始める。
ずっと一人での食事だった龍ちゃんは、ポロポロと泣き出した。
「やっぱり、二人で食べるご飯は美味しいな」
そう言いながら、ご飯を食べる龍ちゃんを見ながら私も泣いていた。
「ごめんね、龍ちゃん」
「何で謝るんだよ!こうやって、帰ってきてくれただけで…。俺は、嬉しいよ」
「だから、龍ちゃんは優しすぎるんだよ」
私は、涙を拭ってそう言った。
「優しくないって言ってるだろ!俺は、欲深い人間だよ」
「そんな事ないよ」
龍ちゃんは、私の言葉に答えるように首を横に振った。
「今日から、一緒に寝ようか」
「うん」
龍ちゃんは、私の言葉に嬉しそうに笑っている。私は、やっぱり皆月凛でいたい。
「凛が作るご飯は、美味しいなー。でも、一人で食べるより今の方が、もっと美味しい」
「龍ちゃん、泣かないで。もう、一人で食べさせたりしないから」
「そんなの気にしてないよ。凛、無理してないか?」
「してないよ」
「俺といるのが嫌なら…」
私は、立ち上がって龍ちゃんの隣に座る。
「凛……」
「私、嫌じゃないよ。龍ちゃんをちゃんと愛してる」
その言葉に、龍ちゃんは私の手を握りしめてくれる。
「凛、もしもだよ。もしも、この先俺が嫌になったとして離婚とかになっても…。死ぬ時だけはいて欲しい」
「そんなのどうやってわかるの?」
「無理なら、お葬式だけでもいいから」
「龍ちゃん、そんな悲しい事、言わないで」
私は、龍ちゃんの涙を優しく拭った。
「ごめん、ごめん」そう言って、誤魔化して笑ったのがわかった。私、龍ちゃんを置いてなどいかないよ。私は、黙って龍ちゃんの手を握りしめた。
その後は、二人で泣きながらご飯を食べて、泣きながら眠った。
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