突然の電話…

ブー、ブー、バイブ音が聞こえる。


「凛?」


「わからない」


俺と凛は、立ち上がってスマホを見に行く。


「俺だわ」


「明日の事?」


「多分」


俺は、スマホの着信を取った。


「もしもし」


『もしもし、ごめんね!今、少しだけ話せるかな?』


「はい、大丈夫です」


『明日なんだけど、時間が一時間早くなっちゃって、10時になったんだ』


「そうなんですね!わかりました」


『ごめんね。スタジオの時間が早まっちゃって』


「いえ、大丈夫です」


『じゃあ、みんなに伝えててもらっていいかな?』


「わかりました」


『明日、楽しみにしてる』


「はい、よろしくお願いします」


プー、プー、プー。


相沢さんからの電話は、切れた。


「明日、時間が一時間早くなるって事だった。みんなに、メッセージ送っとくわ」


「うん」


俺は、みんなにメッセージを送った。


「明日には、もう芸能人なんだね」


凛は、そう言いながら俺を見つめる。


「まだだから」


俺は、スマホをテーブルの上に置いた。


「手、洗ってくる」


「私も…」


凛と一緒に、洗面所に行く。


「先に洗って」


「ありがとう」


俺は、手を洗った。床に転がった服の中から、パンツを見つけて履いた。


「私もパンツ履こうかな」


「凛は、気持ち悪いだろ?干しときな」


「何、それ…」


「だって、ほら」


俺は、凛のパンツを拾って渡してあげる。


「本当だね。干しとく」


凛は、そう言ってパンツを持っていく。


「どこで、干すの?」


「わからないけど、ソファーに広げとく?」


「それも、ありかな」


俺は、笑って凛の後ろをついて歩く。ソファーにパンツを広げて置いた凛を見つめる。


「行こう」


俺は、凛の腕を引っ張ってベッドに連れて行く。


「拓夢」


「凛」


俺は、凛を抱き締める。


「この先、どんな未来が待っていても俺は凛と過ごした日々を忘れないから…。凛もそうしてくれる?」


「うん」


「本当は、凛が赤ちゃんを忘れれるまで、こうして過ごしたかったけど…。出来なくて、ごめんな」


「ううん…。いいの」


俺は、凛から離れて顔を覗き込む。


「デビューがなかったら、もっともっと…。このままで、いれたのにごめんな」


「いいの」


凛は、柔らかく笑ってくれる。


「本当は、俺。凛ともっと…」


凛は、俺にキスをする。わかってるから、言わせないようにするみたいに…。

凛ともっともっと不倫したかった何て言いそうになった。

普通の恋人同士みたいに、不倫を普通の事みたいにして…。


俺、馬鹿だよな…。


それでも、凛と過ごしたかった。


凛ともっと何年もいたかった。


龍ちゃんと同じぐらい、凛の中に存在していたかった。


俺は、唇を離した。


「辛くない?」


「大丈夫だよ」


「じゃあ、もう一回しよう」


「うん」


俺は、流れるように凛を抱く。龍ちゃんと同じように、ここ身体そこに存在したくて凛を抱いた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る