明日、1日を俺に下さい【カクヨム版】

凛は、「拓夢」って言って俺の背中に回した手でシャツをギュッと掴んでいる。泣いてるのがわかる。


「出会わないなんて、拓夢は悲しくないの?」


「それは、今の気持ちだろ?龍ちゃんと子供がいて笑える人生なら…。俺は、いなくていいんだよ。凛の人生が幸せに包まれてるだけで…。俺は幸せを感じられる」


「拓夢」


「凛、愛してる」


一生一緒にいる事が出来たとしても、俺はもう凛にこうする事など出来ないのをわかってる。


「拓夢、有名になっても、誰かを好きになって恋に落ちても、私を忘れないでくれる?」


凛は、そう言って俺を見つめる。俺は、凛の顔を覗き込む。凛の目の中に俺が映ってる。


「忘れないに決まってるだろ」


「拓夢」


「俺に、もう一度、愛する事を教えてくれたのは凛だよ。だから、忘れるわけない。凛も、忘れないで」


俺は、凛の頬に手を当てる。


「忘れない。だって、あの日、私の絶望を拭ってくれたのは拓夢だよ。二度とこんな風に出来なくたって…。私の中で、拓夢は特別だから…」


「旦那さんと出会ってなかったら、俺を選んでくれてた?」


凛は、ゆっくり頷いてくれる。俺は、それだけで充分だった。もう、他には何もいらなかった。


「凛!明日一日を俺に下さい」


「はい」


「凛とやりたい事があるんだ」


「はい」


俺の指に凛の涙があたる。眠る事さえ勿体ない程…。俺は、凛を刻み付けたかった。


「凛、愛してる」


「拓夢、愛してる」


俺は、凛の唇に唇をゆっくり重ねる。優しく丁寧にキスをする。


「激しいセックス以外も出来るよ」


俺は、凛の背中に手をゆっくりと入れてく。


「俺のシャツ着てるのエロイ」


凛は、恥ずかしいから目を伏せる。


「目、見てて」


俺は、凛のブラジャーのホックに手をかける。

凛は、困ったように俺を見つめてる。


「くすぐったい?」


「うん」


「意外に背中弱いのかな?」


「今日は、何かくすぐったい…」


「へー」


俺は、ブラジャーのホックを外した。ブラジャーの跡を指でなぞる。

凛の体が震えて、凛の顔は、さらに困っている。


「気持ち悪い?」


「何か、くすぐったいの…」


「気持ちよくなるのかな?」


「わからない」


俺は、右手で背骨のラインを指でなぞりながら、左手でブラジャーの跡をなでる。凛は、俺にくっつく。


「変な感じがする」


凛は、そう言って俺を見つめる。


「背中、凝ったのかな?家と違うから…。俺の家のベッドだし」


「わからない」


「マッサージしようか?」


「いいよ!くすぐったいから」


凛の反応が、可愛くて堪らない。俺は、凛の唇にまたキスをする。

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