私達は、どうなるのかな?
私は、立ち上がって階段を降りてから洗面所に向かった。私が降りてきていいように電気をつけてくれていた。歯を磨いてから、私は二階に上がった。布団に寝転がって、子供部屋にしようとしていた部屋のカラフルな壁紙を撫でていた。
「龍ちゃん…」
赤ちゃんがいたら違ったのかな?そう思うと、この張り替えた壁紙が憎かった。龍ちゃんと二人、動画を見ながらこの壁紙を貼った。妊活を初めたばかりで、ビキナーズラックって言葉を信じていた。誰かが言っていたから、「ほら、競馬でもパチンコでも初めては当たるじゃない!妊娠だって、最初はそうよ」って…。そんな他人の言葉を信じたお馬鹿な私。
「そんなの幻想じゃない」
シャボン玉の泡みたいに膨れ上がった淡い妄想は、パンパンと弾けとんで消えた。そんな日々を繰り返しながら、しがみついて生きていた日々の中で、私は拓夢を見つけた。
「龍ちゃん、浮気してないよね」
私は、布団に丸まる。
◆
◆
◆
「うーん」
スマホを見つめるといつもの時間だった。目覚ましがなくても、体に染み付いていた。
ブブッ
【飲み物いるなら、シャワー入るから取りに来て】
龍ちゃんから、メッセージがやってきた。
まだ、水は残っていた。
【大丈夫】
ブブッ
【トイレ行くなら、どうぞ!シャワーはいるから】
私は、了解てスタンプを返した。ゆっくりと起き上がって、一階に降りる。扉を開けると龍ちゃんはいなかった。私は、トイレに行ってから、洗面所で歯を磨く。
「ありったけの気持ちを込めてー♪」
シャワーを浴びながら、龍ちゃんは歌っている。悲しいとか辛いとか嫌な事がある時に歌う唄。
「今、君に伝えたい言葉がありすぎて♪遠すぎて♪」
私は、二階に上がる。
龍ちゃんが、悲しいのはわかってる。
【歯磨きまでしてます】
私は、メッセージを送って置いた。水を飲んで、寝転がる。
さっき懐かしい夢を見た。龍ちゃんのお父さんの夢だった。
「凛さん、龍次郎を選んでくれてありがとう。龍次郎はね、昔、人の気持ちがわからなくて人を傷つけてばかりだったんだよ。それは、駄目だからって私がたくさん叱りつけた。そしたら、龍次郎は変わった子って呼ばれるようになってしまった。人の気持ちを考えすぎて、うまく言葉に出来なくて、感情表現も下手くそになってしまってね。全部、私のせいだ。だから、きっと龍次郎との生活はしんどいと思う。逃げ出したくなる時もあるだろう…。それでも、龍次郎が死ぬ時だけは傍にいてやって欲しい。あの子が家族以外の人といて、あんなに幸せそうな顔をしてるのを私は初めて見た」
新婚旅行から帰ってきてお土産を渡しに行った時に言われた言葉だった。
「懐かしい」
私の目からは、大粒の涙が流れ落ちてくる。
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